ホーム > ようこそ知事室へ > 知事記者会見録 > 知事記者会見(定例記者会見)/令和6年4月1日/庁議報告ほか
関連分野
更新日付:2024年4月19日 広報広聴課
知事記者会見(定例記者会見)/令和6年4月1日/庁議報告ほか
知事コメント動画
- 知事コメント動画はこちら
知事記者会見録
会見日時:令和6年4月1日月曜日 11時15分~12時15分
会見場所:県庁西棟8階中会議室
会見者:宮下知事
○幹事社
ただ今から、定例記者会見を始めます。
まず、知事から報告をお願いいたします。
○知事
【公道における自動運転実証実験の実施について】
いよいよ2024年度がスタートしました。全国各地で、路線バスの減便やトラック・バスの運転手不足のニュースをよく目にするようになり、2024年問題が顕在化してきていると感じています。
知事就任以来、この問題に取り組んできましたが、次の交通モードへの転換を図るため、今年度から県内初となる自動運転の実証実験に着手します。この実証実験は筑波大学の石田東生名誉教授を委員長とする奥入瀬渓流利活用検討委員会や筑波大学コンソーシアム等の協力を得て、今年10月に実施予定のマイカー交通規制期間内で行う予定です。
国の直轄権限代行で進められている青橅山バイパスが開通すれば、奥入瀬渓流区間は年間約120万人を超える観光客が訪れる「奥入瀬自然博物館」へと生まれ変わります。この奥入瀬渓流区間で自動運転が実現できれば、運転手不足への対応が期待できると考えています。
自動運転実証実験を採択していただいた、国土交通省や関係者の皆さま方に心から御礼申し上げるとともに、全国的なモデルとなるよう鋭意取り組んでいきます。
【青森県観光戦略について】
本年度から令和10年度までの5か年を戦略期間とした「青森県観光戦略」についてご説明します。
この観光戦略では、「本県が世界とつながり、世界から選ばれ、観光産業が基幹産業として地域経済を力強くけん引している状態。『訪れる人』『働く人』『地域の人』が幸せを感じる地域」を目指すこととしました。
付加価値の創出、人財育成やDXの推進、需要の繁閑差の解消などの課題を解決しながら、県、県民の皆さま、企業、市町村、DMOが協力し合い、それぞれの知恵を結集し、将来ビジョンの実現に向かって本県観光振興を図ることとしています。
取組の基本的な方向性として、生産性向上やサステナブル対応を進め、平日と閑散期の観光需要の底上げを図る「持続可能な観光の確立」、アウトドアスポーツなど、観光客のさまざまなニーズに的確に応えることでしっかりと稼ぐ「観光消費額の拡大」、宿泊施設を拠点とした「連泊の推進」の3つの柱を掲げており、関係者が連携しながら取組を進め、本県経済のさらなる成長を目指します。
2028年の数値目標として、観光消費額2000億円、延べ宿泊者数550万人泊、外国人延べ宿泊者数50万人泊を目指し、特に「観光消費額の拡大」を重視し、より地域経済への波及を意識した取組を進めていきます。
具体的には、「観光の付加価値創出・向上」、「多様な来訪者が快適に滞在できる環境づくり」、「観光DXの推進と持続可能な観光関連産業の確立」、「青森ファンを増やす情報発信」、そして「国内外からの誘客の強化」の5本の戦略プロジェクトに取り組むことで、世界とつながり、世界と交流していく「世界の青森」、観光産業が地域経済を力強くけん引していく姿を実現したいと考えています。
【青森県輸出戦略について】
青森県輸出戦略についても、青森県観光戦略と併せて、3月27日の「青森県観光国際戦略推進本部」において策定しました。
期間は、令和6年度から令和10年度までとなります。
戦略の方向性としては、東アジア・東南アジアを輸出先の基盤としつつ、欧米市場もこれまで以上に重視しながら、需要の維持・拡大を図っていきます。
また、主力品目であるりんごをはじめ、りんごジュース、ホタテなどを「重点品目」と位置付けるとともに、台湾や香港など、輸出拡大に重点的に取り組む「重点国・地域」を設定し、品目別にターゲット国・地域を明確にしながら、関係団体等と連携した輸出促進活動を展開します。
さらに、県内企業の海外ビジネス展開の支援として、県内企業の取組経験や実績などに応じて、各種情報提供や専門家によるアドバイス、商品のプロモーション、商談機会の創出等を、関係機関と連携しながら実施します。
数値目標は、国産りんごの輸出額と県産農林水産品の輸出額で設定しました。国産りんごについては、台湾および香港への輸出額の水準を確保しつつ、東南アジアへの輸出額を倍増させることで220億円を目指します。また、県産農林水産品の輸出額については、りんごの輸出額の維持・拡大を図るとともに、ホタテの輸出先を中国以外に転換することなどにより、2022年の実績を約45億円上回る330億円を目指します。
今年度から、この新しい青森県輸出戦略に基づき、具体的な取組の進行管理を行っていきます。
○幹事社
それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔になるようご協力をお願いいたします。質問のある方は挙手をお願いいたします。
○記者
自動運転実証実験のことでお尋ねします。国土交通省の事業に採択されたということですが、なぜ奥入瀬渓流を提案なさったのかということと、例えば専用レーンを設ける、防護柵を設けるなど、どういった実験を想定されているのかお知らせください。
○知事
まず、奥入瀬渓流を選考した理由としましては、当該期間は、一般の道路交通を制限しますので、自動運転の走行がしやすい環境にあると考えています。
それに加えて、やはり新しい取組ですから、観光地で、そして人に来ていただいている環境の中で実施することがふさわしいと考えました。
専用レーンは特に設けない予定で、基本的には車道を走ることになりますが、一般の交通は制限されていますので、自動運転車両が専用的に走行することになります。
○記者
一般の方も歩いていらっしゃるので、その辺の安全性は大丈夫なのでしょうか。
○知事
レベル2の自動運転で運転席に人がいる状態で運転しますので、十分に安全性が図られると考えています。
○記者
冒頭知事からもご発言ありました2024年問題について、3点ほどお伺いします。
知事ご指摘のとおり、本日から長時間労働を是正する働き方改革関連法の適応対象が拡大されるということで、本格的に2024年問題に直面するタイミングになります。
特に物流に関して、一部報道で知事は「りんごが一日で運べなくなり、みかんに負ける」といった危機感も表明されていらっしゃいましたが、改めてこの2024年問題が本県に与える影響についてお伺いします。
○知事
「りんごがみかんに負ける」という言葉だけを切り取ると少しセンセーショナルに聞こえますが、労働規制がそもそも経済社会を壊していく可能性があることが、この2024年問題の本質的な課題だと考えています。また、トラックドライバーに限って言えば、労働規制によって働き方が必ずしも向上するわけではなく、所得が下がったりする可能性があると私は認識しています。まず、その本質を皆さんにはしっかり理解していただきたいと考えています。
本県に与える影響については、本日から2024年度が始まりましたので、現状をしっかり注視して、また現場の意見をしっかりと聞いて、本県に極力影響のないような対策をしていきたいと考えています。
○記者
ありがとうございます。2点目、この2024年問題に関連して、昨年11月に宮下知事は、国に対して特例的な措置を講ずるよう要望されました。その後の国との協議状況等を教えてください。
○知事
審議官の方からは、運用によって柔軟にというお話もありましたが、なかなか一律に規制緩和ということにはならないようですので、こちらも、今日からスタートする物流業界のさまざまな課題を的確に捉えて、国に訴えるべきことは引き続き訴えていきたいと考えています。
○記者
最後3点目、少し角度は変わりまして、バスやタクシーも含めて、運転手の人材不足という観点です。当初予算でもライドシェアに関する取組の予算を計上していらっしゃいます。本日から、全国4地域で国のライドシェアの試行的な取組が始まりますが、改めて本県におけるライドシェアの可能性、または知事のお考えをお聞かせください。
○知事
本県にはたくさんの交通空白地がありますので、ライドシェアの可能性はあると考えていますし、これを実証、それから実装モードにいち早く展開していくことは、地域の公共交通の確保という観点から非常に重要なことだと認識しています。そのため、令和6年度はアオモリモビリティシェア事業を実施していきます。
○記者
アオモリモビリティシェアは、具体的にいつからという構想はございますか。
○知事
今年度の事業ですから、今年度中に事業を開始することになりますし、その中で実証や実装までいけるかどうかというところです。
○記者
自動運転バスについてお伺いします。先ほど、今回レベル2で実施するとのことでしたが、今後実証実験を重ねていく中で、レベルを上げることなどは考えていらっしゃるのでしょうか。
○知事
運転席に人がいない状態で運転できるレベル4まで視野に入れて、実証実験を開始することを考えています。
○記者
その「視野に入れて」というのは、いつまで実証実験を行うかなど、具体的なイメージはありますか。
○知事
10月にまず実施してみるというところからですので、その先の戦略については今後検討していきます。自動運転というと、すごくスピード感があるバスの走行が自動化されるイメージがあるかもしれませんが、今回奥入瀬渓流で実施するバスは、グリーンスローモビリティといって、いわゆる脱炭素型の電気バスで、しかも低速であり、時速約20キロぐらいで運行するようなものです。
このため、景観を楽しみながら、ガイドの方から観光ガイドを聞きながら、観光を楽しんでいただける、さらに楽しい乗り物になるように企画をしていきたいと考えています。私も試乗することを楽しみにしています。
○記者
自動運転バスについて、これまで県内でどのように導入が検討されてきたのかというのと、この自動運転バスという新しいテクノロジーに対しての知事ご自身の期待感についてお伺いします。
○知事
これまで県として、自動運転バスの導入に向けて取り組んできたことはなかったと考えています。私自身の期待としては、自動運転については新しいテクノロジーというよりも、以前から取り組まれてきたことですので、まずはレベル2の実証実験から始めて、最終的には運転席に人がいない状態で公道を走行できるようにしていきたいと考えています。
○記者
知事のトップセールスについて、今回発表いただいた輸出と観光の2つの側面からお聞きします。まず輸出の方で、知事は選挙の時から、これまで実施していなかった地域でもトップセールスやプロモーションを拡大していきたいとおっしゃっていました。
今回、中国の影響を受けているホタテなどに関しても目標値が出ましたが、改めて現段階で、これまで行っていなかった地域や国への拡大の目処は立っているのでしょうか。
○知事
これまでは台湾や香港を中心とする東アジアが中心の輸出戦略でしたが、青森県の農林水産品や加工品の持つポテンシャルは、世界中で評価されるものだと認識しています。
従って、これら東アジアに加えて、東南アジアや欧米も含めた新しい商売の相手地域を、しっかりトップセールスで切り開いていきたいと考えています。
そのことによって生産者の所得向上につながるような、一気通貫した政策展開を実現したいと考えています。
○記者
ありがとうございます。次に観光について、今は台湾などアジア圏からの観光客の割合が多く、前任の三村知事が特徴的な半被やジャケットを着てパフォーマンスするなど、話題になるようなトップセールスを頻繁に行ってきたこともひとつ貢献しているのではないかと思います。宮下知事のトップセールスのやり方として、方針というか、心がけていきたいことなどは何かあるのでしょうか。
○知事
相手のニーズにどう応じるかだと考えています。私たちが発信したいことだけを発信しても、なかなかうまく伝わらない部分もあると思いますので、先方に行って、相手のニーズがどういうところにあるのか、そして今相手国がどういうことを考えているのかについて、向こうでPRするためには何が一番いい戦略なのかということをしっかりと見極めて展開していくことが大事だと考えています。
そこにこそトップセールスの意味、あるいは醍醐味があると考えています。
○記者
何かユニークなことを展開したいとか、考えていることはありますか。
○知事
例えば、単に私が他県に行って米のPRをするだけだと、あまり興味を持ってもらえないのではないかと考えています。他県の人たちに青森県産米を食べてもらうためには、どんなPRが必要かというのは、その県のマーケットの人たちによく話を聞いて検討すべきです。例えば、芸能人にPRしてもらう方が良いのであればそうすべきであり、ケーブルテレビでコマーシャルすると良いのであればそうすべきだと考えています。
このように顧客のニーズに合わせて、合理性がある形で効率の良いプロモーションを実施するよう指示しています。それが結果につながってくると考えています。
○幹事社
次に、報告案件以外に対する質問に移ります。
まずは幹事社の方から質問させていただきます。
本日から新しい年度となり、県庁も新しい組織体制がスタートしました。令和6年度から始まった「青森県基本計画『青森新時代』への架け橋」を推進していくに当たって、知事の抱負をお聞かせください。
○知事
先ほど新採用職員に辞令を交付しましたが、みんな非常に目が輝いていて、私も身の引き締まる思いでした。
令和6年度は、「挑戦」、「対話」、「DX」を重視して、多くの県民の皆さまに変化を実感してもらえるような一年にしていきたいと考えています。
○幹事社
ありがとうございました。次に、日本銀行がマイナス金利の解除に踏み切りましたが、地域経済に与える影響、期待することについてお伺いします。
○知事
まずやはり長期にわたってゼロ金利政策が続いており、その弊害もあったのだろうと考えています。金利政策の中には、ハードルレート機能やシグナリング機能があると言われていますが、そこがゼロ金利の中で機能してこなかった部分があると私は受け止めています。
ハードルレートとは、ビジネスの新陳代謝を促して、新しいビジネスに資源が集中していく機能のことですが、ゼロ金利政策の中でなかったからこそ低成長の期間であったと考えています。
それに加えてシグナリング機能というのは、金利が上がったり下がったりすることで、市場が日本経済をどのように見ているのかということですが、それもなかったと考えています。
今回ゼロ金利政策が終了して、これから金利が上がったり下がったりする局面になってくれば、こうしたことが機能するようになり、市場が経済をけん引するという本来の姿を日本経済が取り戻していくのではないかと考えています。
県としてもこうしたことを踏まえて、しっかりと状況を見極めながら、県民の皆さまの暮らしの向上のための経済対策を考えていきます。
○記者
3月25日、青森市議会が給食費の無償化等交付金に関して意見書を可決しました。提出先が知事になっていて、郵送で送るとのことでしたが、もうお手元に届いたかどうかということと、もし届いていればこの意見書に対する所感をお伺いします。
○知事
意見書は届いています。近くにいるのだから、直接届けに来てくれれば良かったのにと考えています。
まず、青森市議会がどうかということはさておき、青森市を含め17市町村が先行して給食費無償化を実施していたからこそ、こうした新しい取組ができるので、先行17市町村には感謝申し上げます。
これからは県の主体的な関与のもとに、各自治体には創意工夫をしていただいて、より良い制度に仕上がってくると考えていますし、またそのようになってくれると期待しています。
いただいた意見書の内容については、制度の根幹に関わることであり、制度の趣旨を最初から説明しているとおり、既存の事業に充てられないのが今回の学校給食費無償化等子育て支援交付金の基本的な姿勢ですから、その部分への対応は難しいと考えています。
今後、市町村とよく話し合いをしながら、より良い制度にしていきたいと考えています。
○記者
今おっしゃったようなお話を、市議会宛てに文書などで回答するのでしょうか。
○知事
一般的に回答はしていませんが、来ていただければお話しさせていただくことは可能ですし、そういうコミュニケーションはどの場面でも大事だと考えています。
○記者
エネルギー政策について2点お伺いします。岸田総理は3月28日の記者会見で、2024年度中を目途とするエネルギー基本計画改定に向けて、議論を集中的に行うと述べました。
特に原子力分野に関して、現行計画を振り返って知事が課題と感じることや、計画改定に向けた問題意識、青森県の地域事情を踏まえ、どういった事柄が盛り込まれるべきかについてお考えをお伺いします。
○知事
まず1点目、現行のエネルギー基本計画の課題に関して、再生可能エネルギーの考え方については、自然との共生や関係自治体との合意形成、地域経済の貢献などが求められる状況にあると考えています。そのあたりは今のエネルギー基本計画では、それほど打ち出していないと考えています。
青森県はこれだけ核燃料サイクルの施設を抱えており、再生可能エネルギーでも貢献している地域ですので、現在立地4市町村と県と国で行っている共創会議の内容がどのように盛り込まれるのか、また本県のエネルギー政策全般への貢献度が、どういう形で表現されているのかについては、しっかりと見ていきたいと考えています。
○記者
ありがとうございます。もう1点、今一部お答えいただいたかもしれませんが、現行計画では再生可能エネルギーについて、主力電源として最優先の原則のもとで最大限導入に取り組むと明記されていますが、一方で県内では再エネ導入に伴う地元とのあつれきも起きています。
次期エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーをどのように位置付けるべきとお考えでしょうか。
○知事
経済社会は、何でもトレードオフの関係になりますから、ひとつ大きく進めていくと、何かひとつが大きく失われていくという環境になってしまうのが常であります。
そうした中で、再生可能エネルギーは自然環境の中に立地して運営していくものなので、なかなかうまくいかない場面も出てくるのだと考えています。
そういった部分で、自然環境や地元の方々が大切にしてきた歴史や風土などとの調整が必要であり、電源立地であるため、地域振興という視点も必要になってきます。こうした自然環境等との関係、地元の合意形成、地域経済への貢献というこの3点については、全国でしっかり考えていく必要がある論点ですが、そこを先行して、青森県では考えていきます。
○記者
陸奥湾ホタテについてお伺いします。今日から主力の半成貝の水揚げが始まりまして、漁業者の方にお話を伺ったところ、やはりホタテが少なくてかなり厳しいという声が聞こえてきました。
先週、県の方で総合戦略チームの骨子案などを発表されましたが、改めて陸奥湾ホタテの再生に向けてどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。
○知事
まずは、ラーバがしっかりと採苗器に付着するかどうかが、来年度以降の大きな軸になってくると考えています。
ホタテガイ総合戦略を作って、陸奥湾のホタテガイ養殖が恒常的に100億円産業になることを目指しています。その中では、科学的な根拠に基づいて取り組んでいくことがまず大事だと考えていますので、そういった観点から、県としては各漁協や漁師の方々へ技術的なサポートができるようにしていきたいと考えています。
○記者
自然環境と再エネとの共生構想の中で、再生可能エネルギーに対する課税の検討があったかと思います。
昨年度内に導入可否を検討したいとご発言されていましたが、今日新年度になったというところで、現在の検討状況などをお聞かせいただけますか。
○知事
内部では、もちろん検討は進めています。課税するしないも含めて、改めて発表の場を設けますので、それまでお待ちいただければと思います。
○記者
分かりました。それからエネルギーの関係でもう一問お聞かせください。現在のエネルギー基本計画では、原子力については依存度を低減するといった記載がある一方で、昨年岸田総理が示したGX基本方針では、原子力は最大限利用するというように位置付けられて、ねじれているという指摘もあります。
エネ基の改定で、こういった部分がどのように整理されるかは、立地県である本県にとっても重要な論点だと思いますが、この改定の見直しの議論の中で、原子力の部分について、どのような改定の方向性を期待されているかをお聞かせください。
○知事
エネルギーミックスの観点だと思います。それに加えてGX(グリーントランスフォーメーション)という方向性が出てきているためだと思いますが、政府の方でしっかり整合性を取って説明できるようにしていただきたいと考えています。
私自身は現状それほど矛盾しているとは受け止めていません。
○記者
話題変わって、アメリカ軍輸送機オスプレイに関して伺います。鹿児島県での事故を受けて、全世界で飛行中止となっていましたが、先月14日に再開となりました。事故原因等の詳細は明かされていないため、不安や批判の声も出ています。過去には本県三沢基地の近辺でも訓練したことがあり、本県にとっても無縁ではないと思います。
県民の命を守る立場でいらっしゃる知事として、今回のその原因が判然としないまま、飛行再開となったことに対する受け止めや、今後防衛省や米軍に対してどのような対応を求めていかれるのかお考えをお聞かせください。
○知事
まず受け止めとしては、私自身も説明は不十分だと感じています。事務方に一定の説明があったと聞いていますが、その説明を私自身が受けても、これで十分安全性が確保されて、不安なく県民の皆さまに私自身から説明できるという環境にはないと感じています。
現状、オスプレイが青森県内に配置されているわけではないので、直ちに飛行が開始されることはないと認識していますが、訓練、飛行等が行われる場合にはしっかりと安全性の確保について申し入れを行っていきたいと考えています。
○記者
給食費に関連してお伺いします。先日オンラインで市町村長との意見交換会が開催されました。当初予算全体の中でも議論はありましたが、おいらせ町が、交付金を充てて町の地域の事業に展開していく予定はないと町議会に説明しているようです。このおいらせ町の見解に対して、どう受け止めていらっしゃっていて、個別に町側と協議していくお考えはあるのでしょうか。
○知事
まず、私自身が会議の場で直接そのような話を伺ったわけではありませんので、今この場で回答することは差し控えさせていただきます。
ただ、一方で交付金ですので、使う使わないは自由に選択することになりますが、せっかく準備していますから、子育て世代の皆さまにも非常に期待の大きい交付金になりますので、ぜひご活用いただきたいと考えています。
○記者
意見交換会の中で、知事の方から人口の社会減対策についても言及がありました。一定の大きな政策の弾込めにしないといけないという主旨のご発言があったかと思いますが、その中で具体策というのは現在どのようにイメージされていますか。
○知事
現時点では、いろいろ考えているということだけにさせていただければと思います。今日の新採用職員辞令交付式でも申し上げましたが、このまま今までと同じことをやっていてもなにも変わらないので、少し視点の違う政策が必要です。それを今みんなで考えています。
○記者
会見冒頭でもおっしゃったように、今日から県庁の新しい組織体制がスタートしました。組織の再編については知事就任当初から言及していて、今日ようやくスタートするということで、改めて再編についての期待感や今の所感についてお願いします。
○知事
新しい組織は、政策資源を集中するために構築しましたので、それぞれの部局がただちに成果を求められていると考えています。
先ほどの庁議で、これからは日本をけん引する青森を目指そうと、その中で課題解決をしていこうと指示しましたので、各部局、そして各職員の奮起に大いに期待したいと考えています。
○記者
ありがとうございました。あと1点、今日から「県庁A-biz」、軽装での勤務が始まるということで、この会見場にもノーネクタイの職員がいらっしゃいます。県の職員と接する県民へのメッセージも含めて、今後の期待感や効果について改めてお願いします。
○知事
まず今日からスタートということで、職員の皆さんは戸惑いながら実施していると考えています。しかし、軽装がスタンダードになってくれば、より働きやすい環境になると期待していますし、県民の皆さまから見ても、気軽に立ち寄れる、気軽に相談できる、県民目線の普段着の県庁が実現できると考えています。
○記者
話題戻りまして、エネルギー政策についてご質問します。先ほど課税のお話が出ていましたが、知事は27日に、中間貯蔵施設への課税について検討を開始すると表明されました。
目標どおりいけばキャスク(使用済燃料の輸送や貯蔵に用いられる専用の容器)が7月から9月にも1基搬入されることになりますが、議会への提案などのスケジュールを踏まえれば、早ければ2025年度の導入を目指すというお考えなのでしょうか。
○知事
県のこれまでの対応としては、スタートの時点での課税ということになりますので、そこを目指していく方向性であると認識しています。
○記者
つまりは課税をスタートする時期は今後の検討課題のままであるということでしょうか。
○知事
もちろんです。
○記者
関連して、一時保管を終えた使用済み燃料の運び出す先について、知事は国がいうように、搬出する時に稼働している再処理工場と理解しているとおっしゃっておられましたが、やはり現時点で明確な搬出先が見えているわけではないと思います。
第二再処理工場であったり、六ケ所工場の稼働の延長であったり、もしくは海外での再処理など、いろいろな選択肢があると思いますが、国に対して、搬出先の確定を求めていくというお考えはいかがでしょうか。
○知事
搬出については、過去の例に照らしてしっかり確認していこうと考えています。
○記者
今の搬出先のお話に関連して、過去の例に照らして確認というお話ですが、具体的にはどういったことを想定されているのでしょうか。
○知事
安全協定締結の時点では、県民の皆さまに直接説明する機会がありますので、そのような場でしっかり説明してもらうことは、ひとつの担保になると考えています。また、核燃料サイクル協議会の開催や、覚書の締結などが過去の先例としてありますので、そういったことの対応は必要になってくると考えています。
○記者
今、核燃料サイクル協議会の開催というお話がありましたけども、7月に1基目が搬入される前には一度、開催が必要だというお考えでしょうか。
○知事
時期はよく考える必要があります。7月に搬入されることが前提になっていますが、それは事業者が言っているだけで、私たちが事業者のスケジュールに拘束されることはありません。私たちは私たちのペースで県民説明会を行い、そしてその結果を議会へ報告し、議会での議論を経て、安全協定を締結してスタートすることになりますので、その辺は誤解のないようにしていただきたいと考えています。
○記者
逆に言えば、事業者の示している時期を多少遅らせてもらってでも、協議を丁寧に進めることを優先していくということでよろしいでしょうか。
○知事
一応、事業の見通しを立ててもらっているわけですから、そこには最大限協力することになりますが、何月までにやってくれという話ではないということでご理解ください。
○記者
話題変わって、十和田湖観光のことについてお伺いします。3月25日に、十和田八幡平国立公園が環境省のモデル事業に選定されたという報道がありました。
今後具体的な内容を検討されていくと思いますが、まず現在の十和田湖観光の現状をどのように捉えていらっしゃるかというのと、今後自動運転や環境省のモデル事業も含めて、十和田湖観光にどのような期待を持っていらっしゃるかという部分をお願いします。
○知事
私自身、青森県の観光地の中でも十和田湖・奥入瀬渓流は、非常に素晴らしい地域の一つだと感じていますし、現状、国内外から多くのお客さまに来ていただいております。
冬の観光が少し課題ではあるものの、とりわけ秋については、本当に多くの観光客でにぎわっています。一方で宿泊施設等のキャパシティーが少し足りなくなってきているのではないかという課題もあります。
今回モデル事業に選定されたということは、自然公園の中で、最も活用のポテンシャルが高い地域だと認めていただいたのだと考えています。
このため、これをきっかけにして、さらに十和田湖・奥入瀬渓流に誘客できるような方策を考えていかなければならないと考えています。その第一弾として、先ほど発表したとおり、10月に自動運転という新しい事業を実施して、注目を集めて、さらに人を呼び込むことを検討しています。
さらに青橅山バイパスの供用が開始されると、年間120万人で、さらに200億ぐらいの経済効果がある事業だと試算されていますので、より一層ポテンシャルを発揮すると期待しています。世界の中でも有数の観光地になる可能性があると、私は考えています。
○記者
最後関連してもう1点だけ、青橅山バイパスの話が今出たのでお伺いします。バイパス整備の当初の目的は、オーバーツーリズムを防ぐというところもあったかと思います。これについて、利用と保護のバランスを、どのように取っていかれるかのお考えをお伺いします。
○知事
やはりこれからは開発一辺倒、観光一辺倒ということではなく、持続可能な観光を目指していかなければならないと考えています。
この持続可能ということについて、基本的に自然環境と景観を保全し続けるということがまず一つです。また、地域の暮らしや経済が、観光によって中長期的に成り立っていくという姿を描けるかどうか、この2点が必要であり、ただ人が来て、荒らされていくようなことでは駄目だと考えています。
そのような視点を大切にしながら、取り組んでいきたいと考えています。
○記者
発言の趣旨を確認させてください。
サイクル協議会のご発言の部分、これは中間貯蔵施設の事業開始前に、サイクル協の開催を国に求めることも選択肢の一つであるということでしょうか。
○知事
安全協定締結までのスケジュールについては、今事務方で検討している状況です。そのため、現時点ではいつまでにということは申し上げられません。
使用前検査をするための搬入、それで検査が終わって操業開始となるので、その間の期間に開催するのがいいのか、あるいは操業開始のタイミングで開催するのがいいのかということは、そのあたりをよく考え見極めて、必要であれば開催を求めていくことになると考えています。
○記者
少なくとも搬出先の議論も含めて、国がきちんと説明をする場が必要だと、そういうご認識だということですね。
○知事
当然です。搬出先の議論、搬出をきちんとするという確定を県民の皆さまにしっかりと説明する機会が必要であると考えています。
○記者
八戸の児童虐待事案について、県の対応を検証する第三者委員会の開催の目途等はもうすでに決まっているのでしょうか。
○知事
処遇部会については、5月下旬に開催するということで聞いています。
○記者
ありがとうございます。メンバーについては、現在ホームページ上でも確認できます。そういった方々が参加されるのでしょうか。
○知事
当然そうです。委員の出席状況を踏まえて、5月下旬の開催で調整しています。
○記者
青森県政そのものからやや離れる質問で恐縮ですが、国の子育て政策に関して、ご所感を伺いたいことがあるのでご質問させていただきます。
政府が2026年度から導入を目指している、子ども子育て支援金に関して、先週末国民の負担額のイメージが示されて、月額350円から950円ぐらいになるそうです。
子どもがいない人も含めて、全員参加になることの公平性を問う声もあるようですが、一方、子育て支援は社会全体で取り組むべきだと私は感じます。
知事も県内の子ども子育て政策は、県を挙げて取り組みたいというビジョンをお示しだったと思いますが、そのお立場から見て、この仕組みに対する評価や負担額の多寡について、受け止めがあればお聞かせください。
○知事
子どもがいなくなってしまったら日本は滅びますから、子どものための政策を全国民挙げて実施するという基本的な方向性については、間違いではないと考えています。金額の多寡については、それぞれの経済事情がありますから、それぞれがご判断されることだと考えています。
一方で、実質負担ゼロでやりますという言葉だけが先行して、実際には負担があるということは、説明の仕方に問題があった、あるいはメディアの皆さんの報道の受け止め方に問題があったのかなと考えています。
○記者
ありがとうございます。関連して、今説明の仕方が非常に重要だというお話がありました。知事も青森県内で子育て政策を実行される側にいらっしゃって、その上では子どもがいない方も含めて、いろいろな人たちに政策の必要性を説明する機会が多々あると思いますが、知事がやられるメッセージの打ち出し方とか、説明の仕方について、何か思いがあればお聞かせください。
○知事
さまざまな挨拶の場や、県民対話集会「#あおばな」などの場で言っていることですが、各経済主体がそれぞれ子育て世代に何ができるかを考えてほしいというのが、一番大事な私からのメッセージです。
子育て政策というと、県が何するとか、国が何するとか、市町村が何するとかということばかりが論点になりますが、では各企業で何をしているのかということです。子どもができた時に一時金を支給する制度があるのか、国や自治体によって差が出ているところを会社が補填する仕組みがあるのかなど、うちの会社はこれぐらいやりますということまでやってくれる会社があるのか、そこを問いたいと考えています。
本当の意味で、日本という国が子ども子育てを支援する環境にするためには、国や県や市町村だけが取組を進めても、絶対にうまくいかないと考えています。
各企業がそのことを十分に自覚して動いていかないと、この国の子育て政策は完結しないと考えているので、いろいろな場面でそういう話をさせていただいています。
○幹事社
最後に知事からお願いします。
○知事
先ほど新採用職員の前で訓示をしましたが、私も21年前に、当時の扇千景大臣から訓示をいただいたことを思い出していました。
今日新採用職員には、ベンチャーマインドを持とうと伝えました。ベンチャーマインドとは、急成長して、市場を席巻して、一気にシェアを獲得していくというマインドのことで、成長ではなくあえて「急成長」と伝えました。
その時に、知事と新採用職員は遠い存在にあるかもしれませんが、みんなで一緒に頑張っていこう、皆さんのアイデアこそ大事だとお話をしました。
日本そのものが崖っぷちにいると考えていますが、大変革を為し遂げるためには、やはり一人ひとりが動いていく時代になっていかなければならないと改めて感じています。令和6年度も、日本をけん引する青森県を目指していきたいと考えていますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
ただ今から、定例記者会見を始めます。
まず、知事から報告をお願いいたします。
○知事
【公道における自動運転実証実験の実施について】
いよいよ2024年度がスタートしました。全国各地で、路線バスの減便やトラック・バスの運転手不足のニュースをよく目にするようになり、2024年問題が顕在化してきていると感じています。
知事就任以来、この問題に取り組んできましたが、次の交通モードへの転換を図るため、今年度から県内初となる自動運転の実証実験に着手します。この実証実験は筑波大学の石田東生名誉教授を委員長とする奥入瀬渓流利活用検討委員会や筑波大学コンソーシアム等の協力を得て、今年10月に実施予定のマイカー交通規制期間内で行う予定です。
国の直轄権限代行で進められている青橅山バイパスが開通すれば、奥入瀬渓流区間は年間約120万人を超える観光客が訪れる「奥入瀬自然博物館」へと生まれ変わります。この奥入瀬渓流区間で自動運転が実現できれば、運転手不足への対応が期待できると考えています。
自動運転実証実験を採択していただいた、国土交通省や関係者の皆さま方に心から御礼申し上げるとともに、全国的なモデルとなるよう鋭意取り組んでいきます。
【青森県観光戦略について】
本年度から令和10年度までの5か年を戦略期間とした「青森県観光戦略」についてご説明します。
この観光戦略では、「本県が世界とつながり、世界から選ばれ、観光産業が基幹産業として地域経済を力強くけん引している状態。『訪れる人』『働く人』『地域の人』が幸せを感じる地域」を目指すこととしました。
付加価値の創出、人財育成やDXの推進、需要の繁閑差の解消などの課題を解決しながら、県、県民の皆さま、企業、市町村、DMOが協力し合い、それぞれの知恵を結集し、将来ビジョンの実現に向かって本県観光振興を図ることとしています。
取組の基本的な方向性として、生産性向上やサステナブル対応を進め、平日と閑散期の観光需要の底上げを図る「持続可能な観光の確立」、アウトドアスポーツなど、観光客のさまざまなニーズに的確に応えることでしっかりと稼ぐ「観光消費額の拡大」、宿泊施設を拠点とした「連泊の推進」の3つの柱を掲げており、関係者が連携しながら取組を進め、本県経済のさらなる成長を目指します。
2028年の数値目標として、観光消費額2000億円、延べ宿泊者数550万人泊、外国人延べ宿泊者数50万人泊を目指し、特に「観光消費額の拡大」を重視し、より地域経済への波及を意識した取組を進めていきます。
具体的には、「観光の付加価値創出・向上」、「多様な来訪者が快適に滞在できる環境づくり」、「観光DXの推進と持続可能な観光関連産業の確立」、「青森ファンを増やす情報発信」、そして「国内外からの誘客の強化」の5本の戦略プロジェクトに取り組むことで、世界とつながり、世界と交流していく「世界の青森」、観光産業が地域経済を力強くけん引していく姿を実現したいと考えています。
【青森県輸出戦略について】
青森県輸出戦略についても、青森県観光戦略と併せて、3月27日の「青森県観光国際戦略推進本部」において策定しました。
期間は、令和6年度から令和10年度までとなります。
戦略の方向性としては、東アジア・東南アジアを輸出先の基盤としつつ、欧米市場もこれまで以上に重視しながら、需要の維持・拡大を図っていきます。
また、主力品目であるりんごをはじめ、りんごジュース、ホタテなどを「重点品目」と位置付けるとともに、台湾や香港など、輸出拡大に重点的に取り組む「重点国・地域」を設定し、品目別にターゲット国・地域を明確にしながら、関係団体等と連携した輸出促進活動を展開します。
さらに、県内企業の海外ビジネス展開の支援として、県内企業の取組経験や実績などに応じて、各種情報提供や専門家によるアドバイス、商品のプロモーション、商談機会の創出等を、関係機関と連携しながら実施します。
数値目標は、国産りんごの輸出額と県産農林水産品の輸出額で設定しました。国産りんごについては、台湾および香港への輸出額の水準を確保しつつ、東南アジアへの輸出額を倍増させることで220億円を目指します。また、県産農林水産品の輸出額については、りんごの輸出額の維持・拡大を図るとともに、ホタテの輸出先を中国以外に転換することなどにより、2022年の実績を約45億円上回る330億円を目指します。
今年度から、この新しい青森県輸出戦略に基づき、具体的な取組の進行管理を行っていきます。
○幹事社
それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔になるようご協力をお願いいたします。質問のある方は挙手をお願いいたします。
○記者
自動運転実証実験のことでお尋ねします。国土交通省の事業に採択されたということですが、なぜ奥入瀬渓流を提案なさったのかということと、例えば専用レーンを設ける、防護柵を設けるなど、どういった実験を想定されているのかお知らせください。
○知事
まず、奥入瀬渓流を選考した理由としましては、当該期間は、一般の道路交通を制限しますので、自動運転の走行がしやすい環境にあると考えています。
それに加えて、やはり新しい取組ですから、観光地で、そして人に来ていただいている環境の中で実施することがふさわしいと考えました。
専用レーンは特に設けない予定で、基本的には車道を走ることになりますが、一般の交通は制限されていますので、自動運転車両が専用的に走行することになります。
○記者
一般の方も歩いていらっしゃるので、その辺の安全性は大丈夫なのでしょうか。
○知事
レベル2の自動運転で運転席に人がいる状態で運転しますので、十分に安全性が図られると考えています。
○記者
冒頭知事からもご発言ありました2024年問題について、3点ほどお伺いします。
知事ご指摘のとおり、本日から長時間労働を是正する働き方改革関連法の適応対象が拡大されるということで、本格的に2024年問題に直面するタイミングになります。
特に物流に関して、一部報道で知事は「りんごが一日で運べなくなり、みかんに負ける」といった危機感も表明されていらっしゃいましたが、改めてこの2024年問題が本県に与える影響についてお伺いします。
○知事
「りんごがみかんに負ける」という言葉だけを切り取ると少しセンセーショナルに聞こえますが、労働規制がそもそも経済社会を壊していく可能性があることが、この2024年問題の本質的な課題だと考えています。また、トラックドライバーに限って言えば、労働規制によって働き方が必ずしも向上するわけではなく、所得が下がったりする可能性があると私は認識しています。まず、その本質を皆さんにはしっかり理解していただきたいと考えています。
本県に与える影響については、本日から2024年度が始まりましたので、現状をしっかり注視して、また現場の意見をしっかりと聞いて、本県に極力影響のないような対策をしていきたいと考えています。
○記者
ありがとうございます。2点目、この2024年問題に関連して、昨年11月に宮下知事は、国に対して特例的な措置を講ずるよう要望されました。その後の国との協議状況等を教えてください。
○知事
審議官の方からは、運用によって柔軟にというお話もありましたが、なかなか一律に規制緩和ということにはならないようですので、こちらも、今日からスタートする物流業界のさまざまな課題を的確に捉えて、国に訴えるべきことは引き続き訴えていきたいと考えています。
○記者
最後3点目、少し角度は変わりまして、バスやタクシーも含めて、運転手の人材不足という観点です。当初予算でもライドシェアに関する取組の予算を計上していらっしゃいます。本日から、全国4地域で国のライドシェアの試行的な取組が始まりますが、改めて本県におけるライドシェアの可能性、または知事のお考えをお聞かせください。
○知事
本県にはたくさんの交通空白地がありますので、ライドシェアの可能性はあると考えていますし、これを実証、それから実装モードにいち早く展開していくことは、地域の公共交通の確保という観点から非常に重要なことだと認識しています。そのため、令和6年度はアオモリモビリティシェア事業を実施していきます。
○記者
アオモリモビリティシェアは、具体的にいつからという構想はございますか。
○知事
今年度の事業ですから、今年度中に事業を開始することになりますし、その中で実証や実装までいけるかどうかというところです。
○記者
自動運転バスについてお伺いします。先ほど、今回レベル2で実施するとのことでしたが、今後実証実験を重ねていく中で、レベルを上げることなどは考えていらっしゃるのでしょうか。
○知事
運転席に人がいない状態で運転できるレベル4まで視野に入れて、実証実験を開始することを考えています。
○記者
その「視野に入れて」というのは、いつまで実証実験を行うかなど、具体的なイメージはありますか。
○知事
10月にまず実施してみるというところからですので、その先の戦略については今後検討していきます。自動運転というと、すごくスピード感があるバスの走行が自動化されるイメージがあるかもしれませんが、今回奥入瀬渓流で実施するバスは、グリーンスローモビリティといって、いわゆる脱炭素型の電気バスで、しかも低速であり、時速約20キロぐらいで運行するようなものです。
このため、景観を楽しみながら、ガイドの方から観光ガイドを聞きながら、観光を楽しんでいただける、さらに楽しい乗り物になるように企画をしていきたいと考えています。私も試乗することを楽しみにしています。
○記者
自動運転バスについて、これまで県内でどのように導入が検討されてきたのかというのと、この自動運転バスという新しいテクノロジーに対しての知事ご自身の期待感についてお伺いします。
○知事
これまで県として、自動運転バスの導入に向けて取り組んできたことはなかったと考えています。私自身の期待としては、自動運転については新しいテクノロジーというよりも、以前から取り組まれてきたことですので、まずはレベル2の実証実験から始めて、最終的には運転席に人がいない状態で公道を走行できるようにしていきたいと考えています。
○記者
知事のトップセールスについて、今回発表いただいた輸出と観光の2つの側面からお聞きします。まず輸出の方で、知事は選挙の時から、これまで実施していなかった地域でもトップセールスやプロモーションを拡大していきたいとおっしゃっていました。
今回、中国の影響を受けているホタテなどに関しても目標値が出ましたが、改めて現段階で、これまで行っていなかった地域や国への拡大の目処は立っているのでしょうか。
○知事
これまでは台湾や香港を中心とする東アジアが中心の輸出戦略でしたが、青森県の農林水産品や加工品の持つポテンシャルは、世界中で評価されるものだと認識しています。
従って、これら東アジアに加えて、東南アジアや欧米も含めた新しい商売の相手地域を、しっかりトップセールスで切り開いていきたいと考えています。
そのことによって生産者の所得向上につながるような、一気通貫した政策展開を実現したいと考えています。
○記者
ありがとうございます。次に観光について、今は台湾などアジア圏からの観光客の割合が多く、前任の三村知事が特徴的な半被やジャケットを着てパフォーマンスするなど、話題になるようなトップセールスを頻繁に行ってきたこともひとつ貢献しているのではないかと思います。宮下知事のトップセールスのやり方として、方針というか、心がけていきたいことなどは何かあるのでしょうか。
○知事
相手のニーズにどう応じるかだと考えています。私たちが発信したいことだけを発信しても、なかなかうまく伝わらない部分もあると思いますので、先方に行って、相手のニーズがどういうところにあるのか、そして今相手国がどういうことを考えているのかについて、向こうでPRするためには何が一番いい戦略なのかということをしっかりと見極めて展開していくことが大事だと考えています。
そこにこそトップセールスの意味、あるいは醍醐味があると考えています。
○記者
何かユニークなことを展開したいとか、考えていることはありますか。
○知事
例えば、単に私が他県に行って米のPRをするだけだと、あまり興味を持ってもらえないのではないかと考えています。他県の人たちに青森県産米を食べてもらうためには、どんなPRが必要かというのは、その県のマーケットの人たちによく話を聞いて検討すべきです。例えば、芸能人にPRしてもらう方が良いのであればそうすべきであり、ケーブルテレビでコマーシャルすると良いのであればそうすべきだと考えています。
このように顧客のニーズに合わせて、合理性がある形で効率の良いプロモーションを実施するよう指示しています。それが結果につながってくると考えています。
○幹事社
次に、報告案件以外に対する質問に移ります。
まずは幹事社の方から質問させていただきます。
本日から新しい年度となり、県庁も新しい組織体制がスタートしました。令和6年度から始まった「青森県基本計画『青森新時代』への架け橋」を推進していくに当たって、知事の抱負をお聞かせください。
○知事
先ほど新採用職員に辞令を交付しましたが、みんな非常に目が輝いていて、私も身の引き締まる思いでした。
令和6年度は、「挑戦」、「対話」、「DX」を重視して、多くの県民の皆さまに変化を実感してもらえるような一年にしていきたいと考えています。
○幹事社
ありがとうございました。次に、日本銀行がマイナス金利の解除に踏み切りましたが、地域経済に与える影響、期待することについてお伺いします。
○知事
まずやはり長期にわたってゼロ金利政策が続いており、その弊害もあったのだろうと考えています。金利政策の中には、ハードルレート機能やシグナリング機能があると言われていますが、そこがゼロ金利の中で機能してこなかった部分があると私は受け止めています。
ハードルレートとは、ビジネスの新陳代謝を促して、新しいビジネスに資源が集中していく機能のことですが、ゼロ金利政策の中でなかったからこそ低成長の期間であったと考えています。
それに加えてシグナリング機能というのは、金利が上がったり下がったりすることで、市場が日本経済をどのように見ているのかということですが、それもなかったと考えています。
今回ゼロ金利政策が終了して、これから金利が上がったり下がったりする局面になってくれば、こうしたことが機能するようになり、市場が経済をけん引するという本来の姿を日本経済が取り戻していくのではないかと考えています。
県としてもこうしたことを踏まえて、しっかりと状況を見極めながら、県民の皆さまの暮らしの向上のための経済対策を考えていきます。
○記者
3月25日、青森市議会が給食費の無償化等交付金に関して意見書を可決しました。提出先が知事になっていて、郵送で送るとのことでしたが、もうお手元に届いたかどうかということと、もし届いていればこの意見書に対する所感をお伺いします。
○知事
意見書は届いています。近くにいるのだから、直接届けに来てくれれば良かったのにと考えています。
まず、青森市議会がどうかということはさておき、青森市を含め17市町村が先行して給食費無償化を実施していたからこそ、こうした新しい取組ができるので、先行17市町村には感謝申し上げます。
これからは県の主体的な関与のもとに、各自治体には創意工夫をしていただいて、より良い制度に仕上がってくると考えていますし、またそのようになってくれると期待しています。
いただいた意見書の内容については、制度の根幹に関わることであり、制度の趣旨を最初から説明しているとおり、既存の事業に充てられないのが今回の学校給食費無償化等子育て支援交付金の基本的な姿勢ですから、その部分への対応は難しいと考えています。
今後、市町村とよく話し合いをしながら、より良い制度にしていきたいと考えています。
○記者
今おっしゃったようなお話を、市議会宛てに文書などで回答するのでしょうか。
○知事
一般的に回答はしていませんが、来ていただければお話しさせていただくことは可能ですし、そういうコミュニケーションはどの場面でも大事だと考えています。
○記者
エネルギー政策について2点お伺いします。岸田総理は3月28日の記者会見で、2024年度中を目途とするエネルギー基本計画改定に向けて、議論を集中的に行うと述べました。
特に原子力分野に関して、現行計画を振り返って知事が課題と感じることや、計画改定に向けた問題意識、青森県の地域事情を踏まえ、どういった事柄が盛り込まれるべきかについてお考えをお伺いします。
○知事
まず1点目、現行のエネルギー基本計画の課題に関して、再生可能エネルギーの考え方については、自然との共生や関係自治体との合意形成、地域経済の貢献などが求められる状況にあると考えています。そのあたりは今のエネルギー基本計画では、それほど打ち出していないと考えています。
青森県はこれだけ核燃料サイクルの施設を抱えており、再生可能エネルギーでも貢献している地域ですので、現在立地4市町村と県と国で行っている共創会議の内容がどのように盛り込まれるのか、また本県のエネルギー政策全般への貢献度が、どういう形で表現されているのかについては、しっかりと見ていきたいと考えています。
○記者
ありがとうございます。もう1点、今一部お答えいただいたかもしれませんが、現行計画では再生可能エネルギーについて、主力電源として最優先の原則のもとで最大限導入に取り組むと明記されていますが、一方で県内では再エネ導入に伴う地元とのあつれきも起きています。
次期エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーをどのように位置付けるべきとお考えでしょうか。
○知事
経済社会は、何でもトレードオフの関係になりますから、ひとつ大きく進めていくと、何かひとつが大きく失われていくという環境になってしまうのが常であります。
そうした中で、再生可能エネルギーは自然環境の中に立地して運営していくものなので、なかなかうまくいかない場面も出てくるのだと考えています。
そういった部分で、自然環境や地元の方々が大切にしてきた歴史や風土などとの調整が必要であり、電源立地であるため、地域振興という視点も必要になってきます。こうした自然環境等との関係、地元の合意形成、地域経済への貢献というこの3点については、全国でしっかり考えていく必要がある論点ですが、そこを先行して、青森県では考えていきます。
○記者
陸奥湾ホタテについてお伺いします。今日から主力の半成貝の水揚げが始まりまして、漁業者の方にお話を伺ったところ、やはりホタテが少なくてかなり厳しいという声が聞こえてきました。
先週、県の方で総合戦略チームの骨子案などを発表されましたが、改めて陸奥湾ホタテの再生に向けてどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。
○知事
まずは、ラーバがしっかりと採苗器に付着するかどうかが、来年度以降の大きな軸になってくると考えています。
ホタテガイ総合戦略を作って、陸奥湾のホタテガイ養殖が恒常的に100億円産業になることを目指しています。その中では、科学的な根拠に基づいて取り組んでいくことがまず大事だと考えていますので、そういった観点から、県としては各漁協や漁師の方々へ技術的なサポートができるようにしていきたいと考えています。
○記者
自然環境と再エネとの共生構想の中で、再生可能エネルギーに対する課税の検討があったかと思います。
昨年度内に導入可否を検討したいとご発言されていましたが、今日新年度になったというところで、現在の検討状況などをお聞かせいただけますか。
○知事
内部では、もちろん検討は進めています。課税するしないも含めて、改めて発表の場を設けますので、それまでお待ちいただければと思います。
○記者
分かりました。それからエネルギーの関係でもう一問お聞かせください。現在のエネルギー基本計画では、原子力については依存度を低減するといった記載がある一方で、昨年岸田総理が示したGX基本方針では、原子力は最大限利用するというように位置付けられて、ねじれているという指摘もあります。
エネ基の改定で、こういった部分がどのように整理されるかは、立地県である本県にとっても重要な論点だと思いますが、この改定の見直しの議論の中で、原子力の部分について、どのような改定の方向性を期待されているかをお聞かせください。
○知事
エネルギーミックスの観点だと思います。それに加えてGX(グリーントランスフォーメーション)という方向性が出てきているためだと思いますが、政府の方でしっかり整合性を取って説明できるようにしていただきたいと考えています。
私自身は現状それほど矛盾しているとは受け止めていません。
○記者
話題変わって、アメリカ軍輸送機オスプレイに関して伺います。鹿児島県での事故を受けて、全世界で飛行中止となっていましたが、先月14日に再開となりました。事故原因等の詳細は明かされていないため、不安や批判の声も出ています。過去には本県三沢基地の近辺でも訓練したことがあり、本県にとっても無縁ではないと思います。
県民の命を守る立場でいらっしゃる知事として、今回のその原因が判然としないまま、飛行再開となったことに対する受け止めや、今後防衛省や米軍に対してどのような対応を求めていかれるのかお考えをお聞かせください。
○知事
まず受け止めとしては、私自身も説明は不十分だと感じています。事務方に一定の説明があったと聞いていますが、その説明を私自身が受けても、これで十分安全性が確保されて、不安なく県民の皆さまに私自身から説明できるという環境にはないと感じています。
現状、オスプレイが青森県内に配置されているわけではないので、直ちに飛行が開始されることはないと認識していますが、訓練、飛行等が行われる場合にはしっかりと安全性の確保について申し入れを行っていきたいと考えています。
○記者
給食費に関連してお伺いします。先日オンラインで市町村長との意見交換会が開催されました。当初予算全体の中でも議論はありましたが、おいらせ町が、交付金を充てて町の地域の事業に展開していく予定はないと町議会に説明しているようです。このおいらせ町の見解に対して、どう受け止めていらっしゃっていて、個別に町側と協議していくお考えはあるのでしょうか。
○知事
まず、私自身が会議の場で直接そのような話を伺ったわけではありませんので、今この場で回答することは差し控えさせていただきます。
ただ、一方で交付金ですので、使う使わないは自由に選択することになりますが、せっかく準備していますから、子育て世代の皆さまにも非常に期待の大きい交付金になりますので、ぜひご活用いただきたいと考えています。
○記者
意見交換会の中で、知事の方から人口の社会減対策についても言及がありました。一定の大きな政策の弾込めにしないといけないという主旨のご発言があったかと思いますが、その中で具体策というのは現在どのようにイメージされていますか。
○知事
現時点では、いろいろ考えているということだけにさせていただければと思います。今日の新採用職員辞令交付式でも申し上げましたが、このまま今までと同じことをやっていてもなにも変わらないので、少し視点の違う政策が必要です。それを今みんなで考えています。
○記者
会見冒頭でもおっしゃったように、今日から県庁の新しい組織体制がスタートしました。組織の再編については知事就任当初から言及していて、今日ようやくスタートするということで、改めて再編についての期待感や今の所感についてお願いします。
○知事
新しい組織は、政策資源を集中するために構築しましたので、それぞれの部局がただちに成果を求められていると考えています。
先ほどの庁議で、これからは日本をけん引する青森を目指そうと、その中で課題解決をしていこうと指示しましたので、各部局、そして各職員の奮起に大いに期待したいと考えています。
○記者
ありがとうございました。あと1点、今日から「県庁A-biz」、軽装での勤務が始まるということで、この会見場にもノーネクタイの職員がいらっしゃいます。県の職員と接する県民へのメッセージも含めて、今後の期待感や効果について改めてお願いします。
○知事
まず今日からスタートということで、職員の皆さんは戸惑いながら実施していると考えています。しかし、軽装がスタンダードになってくれば、より働きやすい環境になると期待していますし、県民の皆さまから見ても、気軽に立ち寄れる、気軽に相談できる、県民目線の普段着の県庁が実現できると考えています。
○記者
話題戻りまして、エネルギー政策についてご質問します。先ほど課税のお話が出ていましたが、知事は27日に、中間貯蔵施設への課税について検討を開始すると表明されました。
目標どおりいけばキャスク(使用済燃料の輸送や貯蔵に用いられる専用の容器)が7月から9月にも1基搬入されることになりますが、議会への提案などのスケジュールを踏まえれば、早ければ2025年度の導入を目指すというお考えなのでしょうか。
○知事
県のこれまでの対応としては、スタートの時点での課税ということになりますので、そこを目指していく方向性であると認識しています。
○記者
つまりは課税をスタートする時期は今後の検討課題のままであるということでしょうか。
○知事
もちろんです。
○記者
関連して、一時保管を終えた使用済み燃料の運び出す先について、知事は国がいうように、搬出する時に稼働している再処理工場と理解しているとおっしゃっておられましたが、やはり現時点で明確な搬出先が見えているわけではないと思います。
第二再処理工場であったり、六ケ所工場の稼働の延長であったり、もしくは海外での再処理など、いろいろな選択肢があると思いますが、国に対して、搬出先の確定を求めていくというお考えはいかがでしょうか。
○知事
搬出については、過去の例に照らしてしっかり確認していこうと考えています。
○記者
今の搬出先のお話に関連して、過去の例に照らして確認というお話ですが、具体的にはどういったことを想定されているのでしょうか。
○知事
安全協定締結の時点では、県民の皆さまに直接説明する機会がありますので、そのような場でしっかり説明してもらうことは、ひとつの担保になると考えています。また、核燃料サイクル協議会の開催や、覚書の締結などが過去の先例としてありますので、そういったことの対応は必要になってくると考えています。
○記者
今、核燃料サイクル協議会の開催というお話がありましたけども、7月に1基目が搬入される前には一度、開催が必要だというお考えでしょうか。
○知事
時期はよく考える必要があります。7月に搬入されることが前提になっていますが、それは事業者が言っているだけで、私たちが事業者のスケジュールに拘束されることはありません。私たちは私たちのペースで県民説明会を行い、そしてその結果を議会へ報告し、議会での議論を経て、安全協定を締結してスタートすることになりますので、その辺は誤解のないようにしていただきたいと考えています。
○記者
逆に言えば、事業者の示している時期を多少遅らせてもらってでも、協議を丁寧に進めることを優先していくということでよろしいでしょうか。
○知事
一応、事業の見通しを立ててもらっているわけですから、そこには最大限協力することになりますが、何月までにやってくれという話ではないということでご理解ください。
○記者
話題変わって、十和田湖観光のことについてお伺いします。3月25日に、十和田八幡平国立公園が環境省のモデル事業に選定されたという報道がありました。
今後具体的な内容を検討されていくと思いますが、まず現在の十和田湖観光の現状をどのように捉えていらっしゃるかというのと、今後自動運転や環境省のモデル事業も含めて、十和田湖観光にどのような期待を持っていらっしゃるかという部分をお願いします。
○知事
私自身、青森県の観光地の中でも十和田湖・奥入瀬渓流は、非常に素晴らしい地域の一つだと感じていますし、現状、国内外から多くのお客さまに来ていただいております。
冬の観光が少し課題ではあるものの、とりわけ秋については、本当に多くの観光客でにぎわっています。一方で宿泊施設等のキャパシティーが少し足りなくなってきているのではないかという課題もあります。
今回モデル事業に選定されたということは、自然公園の中で、最も活用のポテンシャルが高い地域だと認めていただいたのだと考えています。
このため、これをきっかけにして、さらに十和田湖・奥入瀬渓流に誘客できるような方策を考えていかなければならないと考えています。その第一弾として、先ほど発表したとおり、10月に自動運転という新しい事業を実施して、注目を集めて、さらに人を呼び込むことを検討しています。
さらに青橅山バイパスの供用が開始されると、年間120万人で、さらに200億ぐらいの経済効果がある事業だと試算されていますので、より一層ポテンシャルを発揮すると期待しています。世界の中でも有数の観光地になる可能性があると、私は考えています。
○記者
最後関連してもう1点だけ、青橅山バイパスの話が今出たのでお伺いします。バイパス整備の当初の目的は、オーバーツーリズムを防ぐというところもあったかと思います。これについて、利用と保護のバランスを、どのように取っていかれるかのお考えをお伺いします。
○知事
やはりこれからは開発一辺倒、観光一辺倒ということではなく、持続可能な観光を目指していかなければならないと考えています。
この持続可能ということについて、基本的に自然環境と景観を保全し続けるということがまず一つです。また、地域の暮らしや経済が、観光によって中長期的に成り立っていくという姿を描けるかどうか、この2点が必要であり、ただ人が来て、荒らされていくようなことでは駄目だと考えています。
そのような視点を大切にしながら、取り組んでいきたいと考えています。
○記者
発言の趣旨を確認させてください。
サイクル協議会のご発言の部分、これは中間貯蔵施設の事業開始前に、サイクル協の開催を国に求めることも選択肢の一つであるということでしょうか。
○知事
安全協定締結までのスケジュールについては、今事務方で検討している状況です。そのため、現時点ではいつまでにということは申し上げられません。
使用前検査をするための搬入、それで検査が終わって操業開始となるので、その間の期間に開催するのがいいのか、あるいは操業開始のタイミングで開催するのがいいのかということは、そのあたりをよく考え見極めて、必要であれば開催を求めていくことになると考えています。
○記者
少なくとも搬出先の議論も含めて、国がきちんと説明をする場が必要だと、そういうご認識だということですね。
○知事
当然です。搬出先の議論、搬出をきちんとするという確定を県民の皆さまにしっかりと説明する機会が必要であると考えています。
○記者
八戸の児童虐待事案について、県の対応を検証する第三者委員会の開催の目途等はもうすでに決まっているのでしょうか。
○知事
処遇部会については、5月下旬に開催するということで聞いています。
○記者
ありがとうございます。メンバーについては、現在ホームページ上でも確認できます。そういった方々が参加されるのでしょうか。
○知事
当然そうです。委員の出席状況を踏まえて、5月下旬の開催で調整しています。
○記者
青森県政そのものからやや離れる質問で恐縮ですが、国の子育て政策に関して、ご所感を伺いたいことがあるのでご質問させていただきます。
政府が2026年度から導入を目指している、子ども子育て支援金に関して、先週末国民の負担額のイメージが示されて、月額350円から950円ぐらいになるそうです。
子どもがいない人も含めて、全員参加になることの公平性を問う声もあるようですが、一方、子育て支援は社会全体で取り組むべきだと私は感じます。
知事も県内の子ども子育て政策は、県を挙げて取り組みたいというビジョンをお示しだったと思いますが、そのお立場から見て、この仕組みに対する評価や負担額の多寡について、受け止めがあればお聞かせください。
○知事
子どもがいなくなってしまったら日本は滅びますから、子どものための政策を全国民挙げて実施するという基本的な方向性については、間違いではないと考えています。金額の多寡については、それぞれの経済事情がありますから、それぞれがご判断されることだと考えています。
一方で、実質負担ゼロでやりますという言葉だけが先行して、実際には負担があるということは、説明の仕方に問題があった、あるいはメディアの皆さんの報道の受け止め方に問題があったのかなと考えています。
○記者
ありがとうございます。関連して、今説明の仕方が非常に重要だというお話がありました。知事も青森県内で子育て政策を実行される側にいらっしゃって、その上では子どもがいない方も含めて、いろいろな人たちに政策の必要性を説明する機会が多々あると思いますが、知事がやられるメッセージの打ち出し方とか、説明の仕方について、何か思いがあればお聞かせください。
○知事
さまざまな挨拶の場や、県民対話集会「#あおばな」などの場で言っていることですが、各経済主体がそれぞれ子育て世代に何ができるかを考えてほしいというのが、一番大事な私からのメッセージです。
子育て政策というと、県が何するとか、国が何するとか、市町村が何するとかということばかりが論点になりますが、では各企業で何をしているのかということです。子どもができた時に一時金を支給する制度があるのか、国や自治体によって差が出ているところを会社が補填する仕組みがあるのかなど、うちの会社はこれぐらいやりますということまでやってくれる会社があるのか、そこを問いたいと考えています。
本当の意味で、日本という国が子ども子育てを支援する環境にするためには、国や県や市町村だけが取組を進めても、絶対にうまくいかないと考えています。
各企業がそのことを十分に自覚して動いていかないと、この国の子育て政策は完結しないと考えているので、いろいろな場面でそういう話をさせていただいています。
○幹事社
最後に知事からお願いします。
○知事
先ほど新採用職員の前で訓示をしましたが、私も21年前に、当時の扇千景大臣から訓示をいただいたことを思い出していました。
今日新採用職員には、ベンチャーマインドを持とうと伝えました。ベンチャーマインドとは、急成長して、市場を席巻して、一気にシェアを獲得していくというマインドのことで、成長ではなくあえて「急成長」と伝えました。
その時に、知事と新採用職員は遠い存在にあるかもしれませんが、みんなで一緒に頑張っていこう、皆さんのアイデアこそ大事だとお話をしました。
日本そのものが崖っぷちにいると考えていますが、大変革を為し遂げるためには、やはり一人ひとりが動いていく時代になっていかなければならないと改めて感じています。令和6年度も、日本をけん引する青森県を目指していきたいと考えていますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
過去の記者会見録
令和6年度 令和5年度 令和4年度 令和3年度 令和2年度 平成31年度(令和元年度) 平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度 平成23年度 平成22年度 平成21年度 平成20年度 平成19年度 平成18年度 平成17年度 平成16年度