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更新日付:2024年8月7日 広報広聴課
知事記者会見(臨時)/令和6年7月29日/リサイクル燃料備蓄センターに係る安全協定等について
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知事記者会見録
会見日時:令和6年7月29日月曜日 18時00分~19時00分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事
○司会
ただ今からリサイクル燃料備蓄センターに係る安全協定等について知事記者会見を行います。始めに知事からお願いいたします。
○知事
まず、資料に基づいてご説明申し上げます。
今回、RFS、リサイクル燃料備蓄センターに係る安全協定につきまして、安全協定および覚書を締結することが妥当と判断いたしました。本日、事業者の方に申し入れいたしまして、8月9日に調印式を行う予定で調整しているところです。
安全協定等に係る判断ですが、RFSの事業開始や安全協定の締結について、安全確保を最優先に判断すべく検討を行ってまいりました。このため、県議会をはじめ市町村長、さらには原子力に関わる専門家、県内有識者および県民の皆さまからご意見等を頂戴しました。いただいたご意見を踏まえ、事業者各社および経済産業大臣に確認し、立地のむつ市から安全協定締結に向けた環境が整ったとの意向が示されました。本日、二役・関係部局長を含めた会議で最終的な判断に至ったところです。
本日の二役・関係部長会議での内容をご説明いたします。県議会をはじめ市町村長、原子力に係る専門家、県内有識者および県民の皆さまからいただいたご意見等を総括すると、安全協定案について、その内容は了ということだと認識しています。ご意見をいただいていた中間貯蔵事業の確実な実施に関して、国や事業者から担保が得られたと考えております。また、国や事業者から得られた担保について、文書を取り交わすことについても合意を得ているところです。
これまでのご意見確認等を経て、むつ市長からは安全協定締結の意向を確認しており、安全協定を補完する文書、覚書の締結も合わせることにより、安全協定を締結する環境が整ったということについて意見の一致を見たところです。
今回の安全協定締結の目的は、周辺施設地域住民の安全確保および環境保全を図るため、県、むつ市およびRFSとの間において相互の権利義務を定めるものです。内容としてはこれまで同様、安全確保、環境保全、情報公開、信頼確保、平常時における報告、異常時における連絡、原子力防災体制の充実などを盛り込んでいます。一方で、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、最新知見を踏まえた上で、安全性の向上に継続的に取り組むことを記載しています。また、改めて立地協定との関係で、今回の安全協定にも、貯蔵期間50年間と記載させていただいております。
また、覚書について、この協定案を提示した後に県議会や県民の皆さま等からいただいた輸送に関する使用済燃料所有者の責任の明確化、親会社の責任の明確化、搬出されずそのまま置いておかれるのではないかとのご意見等を踏まえ、安全協定を補完する観点等から、県、むつ市、RFS、東京電力(東電)それから日本原子力発電(日本原電)との間で覚書を締結することを目的としております。その内容でありますが、まず1点目として、東電および日本原電の使用済燃料の輸送に関する責任と適切な措置について、2つ目として、RFSの安全協定書各項目の遵守への東京電力および日本原子力発電による指導・助言について、3つ目として、中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合の使用済燃料の施設外への搬出を含めた必要かつ適切な措置について、以上3項目について覚書を結ぶこととしています。
ここに至るまでの経緯について振り返っていきます。まず、県として立地協力要請をいただいたのがちょうど20年前の平成16年になりますので、20年来の取り組みだということをまずは皆さんご理解ください。その上で今年の3月にRFSから、今年度の第2四半期の事業開始を目指すとの表明があり、5月に安全協定書を提示し、6月からは県議会、市町村会議、原子力政策懇話会、県民説明会、むつ市の方では、市民説明会も含めて実施してまいりました。それらを踏まえて、経済産業大臣および各事業者への確認を行い、先週むつ市長からの意向表明がありましたので、今回の締結の判断になりました。
意見聴取の状況ですが、県民説明会の中では原子力・核燃料サイクル政策に関わる懸念や使用済燃料の搬出に関わる懸念、安全性に関わる懸念などが主な質問でした。具体的には、政策が破綻した今どういったサイクルを目指すのかということや、政権交代しても政策が続くのか、さらには50年後の搬出先が明らかにされていないため、50年間貯蔵した後も永久に置かれるのではないか、キャスクの安全性、放射性物質の放出に係る事故の可能性の有無、こういったことについて、ご質問や懸念が集中していました。また、事業の推進に関するご意見もわずかではありますが出ておりまして、事業が地域とともに発展することを願うというご意見や、エネルギーに係る大きな貢献を担うことの誇りを持つべきというご意見をいただきました。
続きまして、原子力政策懇話会でのご意見ですが、反対のご意見はなかったと認識しています。基本的に同意するというご意見が寄せられ、安全管理を徹底させてほしい、役割分担を明確にしてほしい、再処理について県民の理解が得られるようにしてほしい、事業等の詳しい内容をわかりやすくウェブサイト等で掲載すべきだというようなご意見をいただきました。
市町村長会議でも、反対のご意見はなかったものと認識しています。市町村長の皆さまからは、広報をしっかりやってもらいたいということと、国民全体に対して理解してもらうための思い切った予算措置をしてもらいたいということ、さらには関わっている人全員が信頼を築き上げるための努力をしてもらいたいということ、そして、丁寧に周知することが大事だ、地域振興が図られることが大切だというご意見をいただいています。
最後、県議会ですけれども、自由民主党会派、新政未来、オール青森、公明党、参政党、無所属の一部の議員からは、安全協定の締結等について了とするという旨のご意見をいただいております。48議員おりますけれども、9割以上となる44議員の皆さまから了とするというご意見をいただきました。ただ、その中でも安全確保を第一とすること、覚書等により使用済燃料の確実な搬出等将来の責任を明確にすること、国の責任とサイクル政策の位置付け等を確認することなどのご意見をいただいております。日本共産党と無所属の議員1名からは、事業開始は容認できない、安全協定は白紙撤回するべきだ、核燃料サイクルの環が見通せない、50年以内の搬出先が確保されていない等という形でご意見をいただいています。
これらを踏まえまして、まずは各事業者等への確認を行いました。原子力・核燃料サイクルに対する考え方として、この推進に取り組むということとプルサーマル利用を具体化していくというようなお話がありました。また、使用済燃料の輸送に関しての責任について、これまでの輸送実績を踏まえて、責任をもって対応するということが、東電および日本原電から伝えられています。また、50年間を含む安全協定の遵守について、しっかりと遵守するということと、貯蔵については、経験と知見を生かして責任を持って指導・助言するというようなお話がありました。さらに、具体的な搬出計画について、適切な時期に提示できるよう取り組んでいくというお話もございました。さらに、中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合の措置といたしまして、施設外への搬出を含め適切な措置を講ずるというお話があり、またこのタイミングで事業を開始するということについては、原子燃料サイクル事業の柔軟性を高めるということ、それとあわせて順次稼働していくことが重要であるというお話がございました。
大臣への確認事項ですが、国として原子力・核燃料サイクルの推進という基本方針を堅持するということ、国民理解の推進ということでいくと、国も前面に立ってしっかりと取り組んでいくという内容を伝えられています。事業者の指導についても、青森県が事業者と確認した内容について、国としても事業者を指導するという発言もございました。また、さらに、ここ非常に重要だと思うのですが、中間貯蔵事業の環境に関する確認の仕組みということで、使用済燃料対策推進計画の中で、中間貯蔵施設における使用済燃料の輸送、貯蔵の状況を毎年度報告公表するよう、事業者を指導するという旨の発言がございました。さらに、大臣からは中間貯蔵事業の位置付け、搬出先の明確化について発言がございました。中間貯蔵施設の意義、重要性については、次期エネルギー基本計画において明確に位置付けるということと、使用済燃料の搬出先について具体化を図るべく検討をしっかりと進めるということがございました。また、それに当たって、安全性の確保を大前提として、六ケ所再処理工場の安定的な長期利用、六ケ所再処理工場で処理を想定した場合の課題と対応策等を検討するというお話がございました。このタイミングで事業を開始することについては国の意思であるということを確認し、また、核燃料サイクルの確立にはその環を構成する全ての施設について、着実な稼働を進める必要があるということ、さらには事業開始は極めて重要で、安全協定締結を進めていただきたいということでのお願いがあったと認識しています。
最後、むつ市長からは、市民から意見のあった使用済燃料の確実な搬出、国民全体への周知について事業者および国のトップの認識を確認できたこと、そのことについて事業者から文書の取り交わしについて合意を得たことや、経済産業大臣から搬出先について、次期エネルギー基本計画で具体化を図るという重要な発言があったということ、これを踏まえてむつ市として安全協定を締結できる環境が整ったため、県とともに締結を進めたいという旨の報告がございました。
以上を踏まえて、冒頭にありました安全協定および覚書を締結することが妥当という判断に至ったところでございます。この後は協定および覚書の締結と操業開始に向けて動いていくことになります。
○司会
それでは各社からご質問を受け付けたいと思います。ご質問のある方は挙手の上、ご質問をお願いいたします。
○記者
協定と覚書の締結ということでしたが、知事として、それだけでなく第2四半期中9月末までの事業開始についても容認、同意するという理解でよろしいでしょうか。
○知事
そこは容認するしないではなく、まず協定の締結を経て行われる使用前検査を経て、事業開始ができるかどうかということは、これからは事業者の努力になっていくと考えています。
○記者
知事の意向としては、事業を開始しても差し支えないという理解でよろしいでしょうか。
○知事
はい。当然です。
○記者
関連して、中間貯蔵は核燃料サイクルの一環ではありますが、そのサイクルの環がまだつながっていない状況です。ほかにも、事業者が中長期的な搬入見通しを立てることもできていません。この段階で安全協定の締結、事業開始にご懸念というのはございませんでしょうか。
○知事
そもそも中間貯蔵事業そのものが、元々施設の性質上、原子力発電所が動いているからとか、その再処理工場が動いているからということで、操業開始が拘束されるものではないと思います。そのことに今の質問の答えは尽きているような気がします。
○記者
関連しまして、搬出先として経産大臣も想定として挙げた六ケ所再処理工場ですが、依然としてまだ動いておりません。稼働の見通しも不透明な状況です。最長で50年後の搬出先という意味では、再処理工場がまだ動いていないという点をとってしても懸念がまだ残っている状況ではないのでしょうか。
○知事
これも繰り返し申し上げているのですが、時間の経過、時間軸の話だと思っていて、六ケ所再処理工場について、9月にしゅん工すると私は思っていませんが、近々しっかり稼動するということで、今、関係者が努力している部分でありますから、そうした環境が整えば、いずれその部分とも整合が図られていくものと考えています。
○記者
関連しまして、経済産業大臣が次期エネルギー基本計画で、搬出先の具体化を図りたいと述べられました。具体的なエネ基の議論はこれからですが、その搬出先の議論について、知事はエネ基での議論もしくは書きぶり、どのような点を期待されますか。
○知事
私は今この瞬間からこの課題に取り組んでいるわけではなく、むつ市長の時代から経済産業省に申し入れしていました。どこに搬出されていくのかについて一定の明確な表現が必要だということを繰り返し申し上げておりますし、今回は具体化に向けて取り組む、あるいは六ケ所の長期的な利用を検討していくというような2つのお話がありましたので、これがどのような記載になっていくかということは、私は自明のことだと理解しています。
○記者
改めて、中間貯蔵施設がこの2024年に安全協定締結、そして事業開始する意義について、知事の考えを伺いたいと思います。
○知事
中間貯蔵事業というのは、再処理を前提とする使用済燃料について、原子炉の近くにあるプールから移して乾式貯蔵する仕組みです。ですから、原子力行政全体の安全性が極めて高まる事業だと、私は認識しています。一方で、そういう環境の中で核燃料サイクル全体の運営の柔軟化を図ることにもつながると思いますし、核燃料サイクルの環の一つが完成するということは非常に大きいことだと考えています。
そういう意味で今回、諸環境が整った時点で、操業開始に向けて取り組んでいくことは、我が国のエネルギー政策にとって非常に大きな出来事だと私は考えています。
○記者
核燃料がむつ中間貯蔵施設に永久に置かれるのではないかという懸念がありました。永久に留め置かれるというご懸念はないと考えていますか。
○知事
それは基本的にないと思っています。まず1つは、法的にそのような環境にはありません。全量再処理であり、また中間貯蔵施設というのはあくまでも再処理を前提とする施設だからということです。それから技術的にもありません。地中深くに最終処分場を作ってでしか最終処分できないということでありますので、あくまでもむつ市の中間貯蔵施設は再処理のために一時貯蔵する施設だということに間違いないと、このことは私は市長のときから繰り返し申し上げています。
○記者
搬出先を巡る議論に絞ってお伺いします。県民や議会の説明会でも、搬出先に対する懸念は特に多かったと思います。知事は出席されてない説明会のご意見も全て目を通されたと伺っていますけども、その説明会での意見を通じて、搬出先を巡る懸念の多さであったりとか、内容についてどのようにお感じになりましたか。
○知事
伝統的な論点でありまして、私自身もその懸念は持っています。そういう中で今回、大臣の方から改めて、エネルギー基本計画でそのことについて具体化する、また六ケ所について長期利用を図るというようなお話がありましたので、一定の明確さを持って私自身も皆さんや県民の皆さまにご説明できる環境が整ったのだと理解しています。
○記者
大臣からのご回答の話がありましたが、今回かなり踏み込んだ見解を大臣から引き出した形になったと思います。総合的に判断されたと思うのですが、その中でもこの大臣の答弁の具体性が判断にはやはり大きく影響したということでしょうか。
○知事
もちろんです。総合判断というのは、今回お示しした協定の内容や覚書の内容、それから事業者からの回答、大臣からの回答、そしてむつ市長からの回答、全てがこの状態でなければ、ゴーサインは出せないと、元々私はそう思っていましたので、その中の一つの大きな要素として、大臣からの回答というものがあると理解してください。
○記者
今回、大臣、国から、これまでとは違った回答を示されたと思うのですが、これは事前のやり取りで、知事の方からかなり強く具体化を求めたということになるのでしょうか。
○知事
先ほども申し上げたとおり、この取組は今始まったわけではありません。もう既に20年前から県は取り組んでいますし、さらにその前からむつ市は取り組んでいます。私自身は市長として9年弱この課題に取り組んでいて、その中で搬出先が最大の論点になるということは、繰り返し経済産業省の方には伝えています。ただ市長として手が届かなかったのは、前回のエネルギー基本計画の中では、パブリックコメントのやり取りの中で、そのとき稼働している再処理工場というところまではお答えいただいていましたが、いよいよ操業が開始するというタイミングでは、県民の皆さまや市民の皆さまのそうした懸念を解消できるような回答は、絶対に必要だと思っていますので、そういう思いに経済産業省側も応えてくれたと考えています。
○記者
改めて搬出先については今後のエネ基の議論もありますが、知事としては大臣の発言というのは現時点では、まず六ケ所というふうに受け止めたという理解でよろしいでしょうか。
○知事
基本的にはそういうことだと思います。
○記者
先ほどの質問とも関連するんですが、再処理事業が本格的になっていない中での、中間貯蔵事業の稼働という部分についてですが、かつて知事としては、事業者であったり、国の方にその辺の論点の整理を求めた経緯もあるかと思います。今回この資料の方にも書かれているように、順次稼働させていく、いずれサイクルの環がつながるというところの、事業者ないし国の説明に知事として、この一連の議論を通して、納得されて、先ほどのようなお話になっているということでしょうか。
○知事
その前提が私の認識とは少し違っていて、そもそも中間貯蔵事業というのは、本来、東日本大震災がなければ、おそらく平成23年の時点でスタートできていた事業だったわけです。その時は、原発は普通に動いていて、でも再処理工場は基本的にはまだ稼働しているかどうかわからないという環境の中で、スタートするという事業だったと私は認識しています。ですから施設の性質として、まず再処理工場が動いていることが前提で動かなければならないものではないということで、私はそういうことを言ったことは今まで多分一度もないです。時間軸の中で整理されることだと繰り返し説明をしてきました。だから、そういう意味では再処理工場がしゅん工、完工して操業開始していることとの関係というのはそれほど問われるものではありません。ただ一方で、行き先がなくなるだとか、あるいはどこに実際出るのだということでいけば、ある一定の行き先についての見通しは必要です。かつては第二再処理工場に行くという記載がありましたが、一方で東日本大震災が起こって、新しい施設のことについて議論ができる環境ではなくなって、その記載がなくなってしまいました。それは地域にとっても、私達にとっても行き先について不安が生じるということにはなりました。でも今回、その行き先については経済産業省から一定の答えをいただいたということですから、そうした懸念も払拭されるだろうということだと思います。今ご質問のあったことに関しては、これはもう繰り返しになるのですが、まず中間貯蔵事業というのは原子力行政全体の安全性を高める事業であるということがあるので、ここはいつスタートしてもいい。さらに、ある意味核燃料サイクル全体の柔軟性を高めるということと、核燃料サイクルの環が一つずつでも完成していく姿ということも、これは必要だろう。ということには、私は一定の合理性があると理解しているので、堂々と進めさせていただきたいと思っています。
○記者
総合判断の判断理由について、先ほど、どの要素が欠けても、この判断に至らなかったというお話もありましたけれども、あえて判断をされる過程の中で、最も重要視したポイントというのはどういった点だったでしょうか。
○知事
それはやはりむつ市の判断です。これは立地地域のご判断がありますから、それはどう考えても一番重要視しなければならないことだと考えています。
○記者
法的だったりとか技術的であったりとか、お話のこのご議論の中では、再処理工場の稼働がまだ明確化しない中、どこに持っていくのかとかそういったお話もありましたけれども、そういった論点という意味では、どういったポイントを重視されましたでしょうか。
○知事
搬出先への懸念が一番大きかったと思いますので、これが一定明確化されたということは、判断の一つの大きな要素になったと思います。私は大きく前進したと思います。
○記者
先ほどの質問の中でも出ていましたけれども、エネルギー基本計画の中で議論されるということで経済産業大臣の方から説明も、回答を引き出しましたけれども、改めてこのエネルギー基本計画という国のエネルギー安全保障、エネルギーの大方針ですけれども、ここに位置付けられたと、位置付けるよう検討していくということの意味を、知事としてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
○知事
政府の方針、国としての政策の基本に当たるということが確立されるということだと理解しています。
○記者
覚書の中で、その事業が著しく困難になった場合に施設外に搬出するということが明記されるということですが、この著しく困難になった場合というのはどういう状況が想定されるのか、この具体的な条件というものを教えてください。
○知事
政策の一貫性が失われて核燃料サイクル事業をやめるということになったときはまさにそういうことだと思っております。
○記者
経産大臣の方から、六ケ所再処理工場の長期的な安定的な操業ということで、お答えがあったかと思いますが、運転の目安とされるのが40年というふうにされますが、40年を超えてのこの操業運転ということには、技術的に懸念ということもありますし不安の声も聞かれますが、こういったところにはどのようにご対応、お応えになりますでしょうか。
○知事
長期利用ということについては、議論はまだスタートしていないと認識しています。そもそも長期利用しなければ中間貯蔵が成り立たないのかということについても、これから議論が必要だと理解しています。
○記者
先ほどの質問の中で六ケ所再処理工場に関する知事の発言で9月にしゅん工するとは思っていないというご発言がありました。事業者の日本原燃は9月のしゅん工というのも今も掲げていますが知事としては、それは困難だというご認識でしょうか。
○知事
今回この一連の手続きを見ていただければわかるとおり、技術的に9月にしゅん工ができることになったとしても、社会的な手続きがこれから必要になるわけですので、なかなかそれは難しいのではないでしょうか。
ですから、そもそもそういうところに拘束されてないということは理解していただきたいと思います。
○記者
1つだけ確認です。社会的手続きというご発言からすると、しゅん工は操業という意味合いでしょうか。
○知事
操業というか、県民の意見を聞いたりですとか、あるいはそれこそ安全協定締結したりだとか、県議会の意見を聴取したりですとか、原子力政策懇話会の意見を聞いたりするというのをこれからお願いされても、多分ほとんど無理かなと思います。
○記者
細かいところで確認なのですけども、覚書の締結も同じ8月9日の予定ということでまずよろしかったでしょうか。
○知事
はい、そのとおりです。
○記者
先日のむつ市長との会談の中で、知事は大学生の頃からこの事業に関わってきたという話とともに、むつ市民のこの事業に対する思いというのをお話されていました。それで判断後に県民にはもちろん市民にもメッセージを送りたいということをおっしゃっていたかと思うのですが、改めて市民の思いを背負って協定締結する知事の今の思いというのをお聞かせください。
○知事
私は20年来、関わってきました。当時市議会議員だった父からこういう事業があるのだけどどう思うと聞かれたところから始まって、自分も就職した先が行政機関でしたので、さまざまな論点を父と一緒に整理しました。議員として海外視察に行くべきか、住民投票について法的にどのような整理をすべきか、あるいは、立地協定の締結に向けて何か考えることはないかとか。さらにはその過程の中では、当時のむつ市長の不祥事が重なったこともあり、また、自身の市長選挙でも争点になりその都度ある意味、激論を交わしてきました。ですから、この中間貯蔵事業については、本当に自分事として、自分自身の課題としてずっと考えてきました。特に平成26年に、むつ市長になってからはこれだけが、全県的な話題、全国的な話題になることが多かったので、慎重になりながらも大胆な論理展開をしてきました。当初、地元のむつ市は、大きなうねりのような反対がありましたが、今は静かに受け入れる体制が整っていると思っています。市長にも申し上げたのですが、その源泉にあるのは、事業者と市民の信頼関係以上に、むつ市政とむつ市民の信頼関係があって成り立っているということですので、それを忘れてはいけないと思いますし、そういう寛容な市民の皆さまの気持ち、そして県民の皆さまの多くは受け入れてくれると理解していますので、そうした寛容さだけを頼りにするのではなくて、私達はしっかりと厳しさを持って安全を追求していく体制をこれからも取っていかなければいけないと思っています。この判断で全部が終わるわけではなく、ここから始まりです。安全性の確保と、搬出先の論点については、私達は常に意識して取り組んでいかなければいけないですし、県民の皆さまやむつ市としては市民の皆さまに理解していただけるように、事業の進展に応じて、さらに議論が深まるようにしていく必要があると私は考えています。
○記者
今、県民の寛容さというお話がありましたが、一方で県民説明会の日付設定や形式などでは有りようについて意見もあったと思っています。そういうことを踏まえまして、県民からの意見聴取は十分だったと考えているでしょうか。
○知事
20年間お話をお伺いして、そして最終局面でいただいたご意見については一定の回答が得られるように、県も市も、それから事業者も、あるいは大臣も努力をして一定の答えを出していると私は理解しています。
○記者
その20年の間に意見を聞くタイミングがいくらでもあったという考えということでしょうか。
○知事
20年間の間にさまざまな論争を経て、今に至っていて、そのまず結実として、最終的に残った課題についても一定の答えをいただいているというのが今の状況だと理解しています。
○記者
最初は受け入れるものっていうのは再処理しきれない分ということで始まっていたと思うのですけれども、その説明が変わったという経緯があって。
○知事
それは全然違うと思います、再処理しきれない分を受け入れるわけではないです。再処理できるものしか受け入れない。リサイクル燃料貯蔵だから。それは全然理解が違うと思いますよ。
○記者
1つ前の質問でも少しかぶるところもあるのですが、今回の協定案の是非について、今後、仮に事業を開始した後は、例えばその協定に書いていることを事業者に守らせるとかそういったことを県としてはスタートすると思うのですが、安全性の確保であったり先ほどおっしゃった搬出先の議論であったりについて、事業開始後、県としてどのような姿勢で取り組んでいくのかということを改めてお願いします。
○知事
まず1つは安全性の確保については、不断の努力が必要です。1本目が入ってきて使用前検査があって操業開始する、それで終わりではなくて毎年しっかりそこの部分についてはチェックが必要です。それからもう1つ、大事なポイントで、毎年の搬入に当たって、その時点で核燃料サイクル事業が健全にその時点で、しっかり進んでいるかどうかを確認する仕組みを作ったわけです。ですから1本目が今回入ってくる、このまま順調に行けばなるというふうに思うのですが、来年また同じ状況の中で、今計画としては、来年3基入ってくるというタイミングで、またその議論はしっかりさせていただくということになろうかと思っています。これを毎年しっかり継続してやっていくことで、核燃料サイクルそのものが継続して実施できないと判断されるときには、私達は受け入れないと言うことができます。その時点で協定と同様に契約的な内容である覚書が発動して、それでは元のところに持って帰っていただきたいという話になると理解してください。
○記者
先ほどの知事のご発言で、寛容な市民の皆さまの気持ち、県民の皆さまの寛容さというお話ありましたけれども、この寛容さというものを少しご説明いただくと、どういった議論の流れでこの寛容な市民の皆さまの気持ちが出来上がってきて、今後、どのようにこの寛容な状態というか、その気持ちを維持していくのかということをお聞かせ願えますでしょうか。
○知事
まず20年という時間が必要だったのだと思っています。そして事業者からの安全性に対する丁寧な説明とそれを受け入れる環境が大事だったのだと思います。そうした環境の中で出来上がった、賛成とか反対を超えて受け入れるというような、その環境ということだと思います。これを確かなものとしていくためには、なお事業者は安全性に対する取り組みを強化しなければ、進めなければいけないですし、またそのことについて県民の皆さまの理解が得られるようにしていく必要があると私は考えています。
○記者
先ほど中間貯蔵事業の使用済核燃料の輸送・貯蔵の状況の毎年度の報告・公表についても知事は触れられておりましたけれども、先ほどの事業者との絡みでの県としての取り組みという質問がありましたが、この中間貯蔵がそもそも中間貯蔵たりうるには、知事ご指摘のとおり、核燃料のサイクルの環が閉じる必要があるかと思いますけれども、この環が閉じるために県として国に対してどのような姿勢で今後向き合っていくか、お考えをお聞かせください。
○知事
政策の一貫性とその安全性の確保について、主体性を持って取り組んでいただくということは常に確認しなければいけないと思っています。本来であれば、確認する必要のないことだと、むしろ国が積極的に発言すべきことだと私は思いますが、県民の皆さまが不安を感じるということであれば私の方からしっかりと確認していくことだと理解しています。
○記者
そうすると県民の間で不安を感じると、県民が不安を感じていると知事がご判断された際には、また大臣との折衝であったりとか、そういったことも進めていかれるお考えでしょうか。
○知事
そういうことになるでしょうね。
○記者
覚書について1点伺います。覚書というと、日本原燃六ケ所再処理工場、いわゆる日本原燃と結んだ覚書があります。この覚書に関しては、震災後、民主党政権の時に、まさに再処理政策の大転換をしようとした政権に対して、この覚書がある意味、実効性を発揮したような場面もありました。知事としては、今回結ぶこの覚書も法的拘束力はないといえども、実効性という意味ではどのようにお考えでしょうか。
○知事
これは一種の契約ですから、相互が履行義務を負うものだという意味では拘束力があるものだと理解していますので、効果が発動しないように取り組んでいただきたいとは思いますが、かなり意味のあるそういう覚書になるとは考えています。県民の不安を払拭するという意味でも意味のある覚書になると理解してください。
○記者
使用済燃料ですね、これから操業前の最初の試験のために、事業者としてはキャスクを搬入することになると思いますが、知事としては1基目のキャスクがいつ搬入されるべきかお考えでしょうか。
○知事
それは特にないです。この環境を整えて安全に操業ができる環境が整えば、それは使用前検査になると理解していますし、それこそ事業者が自ら言った期限に拘束されて、無理をしてやるということがないようにしてほしいと思います。かつてむつ市は、原子力船むつを受け入れて、これがある意味強行して出港して放射線漏れ事故が起こりました。当時の放射線漏れは人体に影響のない範囲だったということではあるのですが、当時やはり原子力に対する国民の理解や、あるいは住民の理解というのもなかなか進んでいなかった部分もあって、そういう意味では大々的にそういうことが取り上げられました。やはり事業というのは無理をすると何か非常に事故等良くないことが起こりますので、自らの期間に拘束されることなく安全に、まずは操業できる環境を作っていただきたいと私はそう考えています。
○記者
先ほどのご回答の中で、搬出先が最大の論点になるということは、かねてからお考えだったという話の中で、市長では手に届かなかった部分もあるというようなご発言があったと思います。前回のエネ基の時のパブコメとかを指しておっしゃっていましたけれども、知事と市長ではこの搬出先の担保を得る実効性っていうんすかね、やっぱり立場が違うと、知事でなければできなかった部分があるとお考えでしょうか。
○知事
それはまだよくわからないです。ただ、少なくとも当時市長の時にいろいろやり取りをさせていただいた経緯の中でいくと、まだ、そういう意味では要素としてどちらかわからないです。知事がお願いしたからできたのかということか、もしくは、今、この本当に稼働するタイミングだからそういう議論になったのかということはよくわからないです。ただ、少なくとも今の現時点で言えるのは、その3年前のエネルギー基本計画のパブリックコメントのやり取りの中で、その時稼働している再処理工場という言質があったということは、今回の大臣の回答に一定の影響があったと思いますし、その積み上げの結果、今回のような発言があったと私は理解しています。
○記者
先ほど国の関わりの部分で使用済燃料の輸送貯蔵状況を毎年度報告するよう事業者を指導するというところも今回仕組みとして新たに設けられた。これがですね、そのサイクル全体のこの継続性とかも確認するような役割を担うというふうな、先ほどのご発言だと、そういうことかなと思うのですが。
○知事
そのとおりです。
○記者
これは単純に数を国の方でまとめて公表ということにとどまらずにこの中でサイクルの推進というのも。
○知事
もちろんそうだと思います。はい、もちろんそのようにしていきたいと思っています。ですから、多分1基受け入れて、この環境で使用前検査が終わらなければ事業開始になりません。そもそも1基受け入れないと使用前検査ができませんから、この環境でまず受け入れて事業開始できる。RFSの施設の中には1基だけある状態になる。この状態だと、まだまだ引き返せるでしょう、我々は。ですけれども本格的に稼働するというタイミングでは、立地の概要にそう書いてありますが、年4回程度に分けて200トンから300トンを受け入れるということが前提の施設。それが始まってしまうと、もうそれが始まるタイミングですと引き返せなくなる可能性があると。だから引き返せる可能性をどこでポイントを作るかということも、とても大事なことだと思っていますので、ただ始めるだけではなくて、緊張感を持って始め、そして、その核燃料サイクルの進捗に応じて、この使用済燃料の量やあるいは施設の有用性というものが、施設のそのあり方というものは常に議論できるようなそういう環境を作ったということでご理解いただきたいと思います。
○記者
核燃料サイクルの継続に当たって知事が一番重要とお考えになるのは再処理工場のしゅん工、プルサーマルの実施の基数等あるかと思うのですけども、どの部分を重視して見ていきたいとお考えでしょうか。
○知事
これも、やはり全てが達成されなければ、核燃料サイクルというのは、達成できないと思いますから、順次、施設がその稼働していくことということには、稼働していくということが大事だと思っています。プルサーマルができなければ行き先がないですし、再処理工場がなければ再処理できないですし、中間貯蔵がなければ、原子力発電所が稼働しなくなるということですから、それぞれがそれぞれに重要な役目を負っているということだと思っています。
○記者
そういった部分もこの使用済燃料対策協議会の中で確認できることになっていくと。
○知事
確認できるというか、確認をしながら進めるということで考えています。
○記者
この計画を策定する協議会の中に、県が構成員として加わるということではないと。
○知事
それは違います。国が国としてそれをやり、私達は私達としてその計画を受けて、その当該年度の搬入について判断をさせていただくということだと思います。
○記者
今回、覚書の締結ということに今至ったと思うのですが、当初核燃料サイクル協議会というのも一つ選択肢の中には当初あったかと思いますが、今回サイクル協議会を開催せず、大臣確認と覚書というふうになった理由っていうのは何かございますでしょうか。
○知事
現時点では、必要十分な対応だと感じています。核燃料サイクル協議会については、いずれお願いしなければいけないと思いますし、まだそういう意味では操業開始しておりませんから、操業開始後にしっかりその部分についてはまたさらに検討していきたいと思います。開催するかしないか、開催の必要はどういう部分にあるのかということについて、検討していきたいと思います。
○記者
では、中間貯蔵メインのテーマとしてのサイクル協議会は今後県の開催する可能性はあると。
○知事
もちろんあると思います。それは常にある。何かが起こればありますし、何かが起こらなくても本格的に稼働するとかいうタイミングであるかもしれませんし、必要に応じてやるのが核燃料サイクル協議会だと思っていますので、その必要性が判断されたタイミングでお願いすることになると思います。
○記者
今回妥当という判断は最終的には本日ということになるんですけども、知事の中で先週むつ市長の報告を受けて、その後、週末とかどのタイミングで妥当、締結できるというふうに決断したというのがありますでしょうか。
○知事
土曜日に最終的には今日以降というか、今日。いろいろな日程があるので、今日この夕方の時間は少し時間が取れるということとか、2週間ぐらい先に何時間取れるとかその先に何時間取れるということは、時間としては確保していましたので、そういう意味で今日やるということについては土曜日に皆さんからの資料が出尽くしたのでそれをしっかり考えて協議しましょうというお話を決断したところでございます。
○司会
最後に知事からお願いいたします。
○知事
エネルギー政策そのものについて少し言及させていただきますが、我が国において、エネルギー政策というのは国家の存亡に関わらず、重要なものだと私は理解しています。第二次世界大戦を振り返ると、石油を自給できなかったと、アメリカに8割ぐらい依存していたということが、決定的な痛手となって、そういう意味ではエネルギーを巡る戦いだと言っても過言ではない、そういう戦争があったわけです。そこで300万人とも言われる国民が亡くなったということです。
ですから、日本全体としてエネルギーが安定供給できるようなその体制環境、これを、国と地域が挙げて協力して構築していかなければいけないというのは、我が国の本当に根幹的な課題です。必要不可欠なことだと私は思っています。これは別に戦争に備えろとか戦争に勝つためだとかそういうことではなくて、国民を不幸にしないために本当に私は大切なことだと思っています。
一方で、東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故も相まって、原子力に対する厳しい目が向けられています。原子力行政に対しても、これも私は当然なことだと思っています。
こうして、受け入れるというような決断や進めるという判断が、結果このように、丁寧にお答えしても多少なりとも批判があるということも理解していますし、承知もしています。さらに、お金目当てですとか、そのお金というのは財政上のですね。お金目当てですとか、あるいは地域に勝手にレッテルを貼って馬鹿にしたようなレッテルを貼ったりするとか、そういうことを普通にみんながしてくると、ここにいる皆さんではなく、一般論です。ですけれども、今回はやはり青森県として、この国の重要政策であるエネルギー政策に多大な貢献をするということは事実で、そのことについて齋藤経済産業大臣からは、まず第一に感謝の言葉がありました。ですから私も今回受けるにあたっては、理解を示していただいている全ての県民の皆さまや有識者の皆さま、そして、県議会の皆さまに感謝申し上げます。
ただ、協定を締結して、使用前検査が終了して、操業開始されるということがこれ終わりではないです。そこからの仕組みも、私はしっかり作ったと思っています。まず本事業が、予定どおりにスタートして我が国のエネルギー政策に貢献していくためには本当にこれからが大事で、これから事業者も国も我々も、青森県もむつ市も不断の努力をし続けなければ県民の皆さまの安心安全ということの付託には答えられないと思っています。県としても、今後も主体的に安全の確保と事業の完結に向けて尽力していくことを改めてお約束申し上げます。
最後になりますが、こうした環境を作っていただいた、まずは本当に立地地域のむつ市民の皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思いますし、また、ご理解いただける青森県民の皆さま、そして、受け入れていただける全ての県民の皆さまに感謝を申し上げて私からの発表事項とさせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
ただ今からリサイクル燃料備蓄センターに係る安全協定等について知事記者会見を行います。始めに知事からお願いいたします。
○知事
まず、資料に基づいてご説明申し上げます。
今回、RFS、リサイクル燃料備蓄センターに係る安全協定につきまして、安全協定および覚書を締結することが妥当と判断いたしました。本日、事業者の方に申し入れいたしまして、8月9日に調印式を行う予定で調整しているところです。
安全協定等に係る判断ですが、RFSの事業開始や安全協定の締結について、安全確保を最優先に判断すべく検討を行ってまいりました。このため、県議会をはじめ市町村長、さらには原子力に関わる専門家、県内有識者および県民の皆さまからご意見等を頂戴しました。いただいたご意見を踏まえ、事業者各社および経済産業大臣に確認し、立地のむつ市から安全協定締結に向けた環境が整ったとの意向が示されました。本日、二役・関係部局長を含めた会議で最終的な判断に至ったところです。
本日の二役・関係部長会議での内容をご説明いたします。県議会をはじめ市町村長、原子力に係る専門家、県内有識者および県民の皆さまからいただいたご意見等を総括すると、安全協定案について、その内容は了ということだと認識しています。ご意見をいただいていた中間貯蔵事業の確実な実施に関して、国や事業者から担保が得られたと考えております。また、国や事業者から得られた担保について、文書を取り交わすことについても合意を得ているところです。
これまでのご意見確認等を経て、むつ市長からは安全協定締結の意向を確認しており、安全協定を補完する文書、覚書の締結も合わせることにより、安全協定を締結する環境が整ったということについて意見の一致を見たところです。
今回の安全協定締結の目的は、周辺施設地域住民の安全確保および環境保全を図るため、県、むつ市およびRFSとの間において相互の権利義務を定めるものです。内容としてはこれまで同様、安全確保、環境保全、情報公開、信頼確保、平常時における報告、異常時における連絡、原子力防災体制の充実などを盛り込んでいます。一方で、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、最新知見を踏まえた上で、安全性の向上に継続的に取り組むことを記載しています。また、改めて立地協定との関係で、今回の安全協定にも、貯蔵期間50年間と記載させていただいております。
また、覚書について、この協定案を提示した後に県議会や県民の皆さま等からいただいた輸送に関する使用済燃料所有者の責任の明確化、親会社の責任の明確化、搬出されずそのまま置いておかれるのではないかとのご意見等を踏まえ、安全協定を補完する観点等から、県、むつ市、RFS、東京電力(東電)それから日本原子力発電(日本原電)との間で覚書を締結することを目的としております。その内容でありますが、まず1点目として、東電および日本原電の使用済燃料の輸送に関する責任と適切な措置について、2つ目として、RFSの安全協定書各項目の遵守への東京電力および日本原子力発電による指導・助言について、3つ目として、中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合の使用済燃料の施設外への搬出を含めた必要かつ適切な措置について、以上3項目について覚書を結ぶこととしています。
ここに至るまでの経緯について振り返っていきます。まず、県として立地協力要請をいただいたのがちょうど20年前の平成16年になりますので、20年来の取り組みだということをまずは皆さんご理解ください。その上で今年の3月にRFSから、今年度の第2四半期の事業開始を目指すとの表明があり、5月に安全協定書を提示し、6月からは県議会、市町村会議、原子力政策懇話会、県民説明会、むつ市の方では、市民説明会も含めて実施してまいりました。それらを踏まえて、経済産業大臣および各事業者への確認を行い、先週むつ市長からの意向表明がありましたので、今回の締結の判断になりました。
意見聴取の状況ですが、県民説明会の中では原子力・核燃料サイクル政策に関わる懸念や使用済燃料の搬出に関わる懸念、安全性に関わる懸念などが主な質問でした。具体的には、政策が破綻した今どういったサイクルを目指すのかということや、政権交代しても政策が続くのか、さらには50年後の搬出先が明らかにされていないため、50年間貯蔵した後も永久に置かれるのではないか、キャスクの安全性、放射性物質の放出に係る事故の可能性の有無、こういったことについて、ご質問や懸念が集中していました。また、事業の推進に関するご意見もわずかではありますが出ておりまして、事業が地域とともに発展することを願うというご意見や、エネルギーに係る大きな貢献を担うことの誇りを持つべきというご意見をいただきました。
続きまして、原子力政策懇話会でのご意見ですが、反対のご意見はなかったと認識しています。基本的に同意するというご意見が寄せられ、安全管理を徹底させてほしい、役割分担を明確にしてほしい、再処理について県民の理解が得られるようにしてほしい、事業等の詳しい内容をわかりやすくウェブサイト等で掲載すべきだというようなご意見をいただきました。
市町村長会議でも、反対のご意見はなかったものと認識しています。市町村長の皆さまからは、広報をしっかりやってもらいたいということと、国民全体に対して理解してもらうための思い切った予算措置をしてもらいたいということ、さらには関わっている人全員が信頼を築き上げるための努力をしてもらいたいということ、そして、丁寧に周知することが大事だ、地域振興が図られることが大切だというご意見をいただいています。
最後、県議会ですけれども、自由民主党会派、新政未来、オール青森、公明党、参政党、無所属の一部の議員からは、安全協定の締結等について了とするという旨のご意見をいただいております。48議員おりますけれども、9割以上となる44議員の皆さまから了とするというご意見をいただきました。ただ、その中でも安全確保を第一とすること、覚書等により使用済燃料の確実な搬出等将来の責任を明確にすること、国の責任とサイクル政策の位置付け等を確認することなどのご意見をいただいております。日本共産党と無所属の議員1名からは、事業開始は容認できない、安全協定は白紙撤回するべきだ、核燃料サイクルの環が見通せない、50年以内の搬出先が確保されていない等という形でご意見をいただいています。
これらを踏まえまして、まずは各事業者等への確認を行いました。原子力・核燃料サイクルに対する考え方として、この推進に取り組むということとプルサーマル利用を具体化していくというようなお話がありました。また、使用済燃料の輸送に関しての責任について、これまでの輸送実績を踏まえて、責任をもって対応するということが、東電および日本原電から伝えられています。また、50年間を含む安全協定の遵守について、しっかりと遵守するということと、貯蔵については、経験と知見を生かして責任を持って指導・助言するというようなお話がありました。さらに、具体的な搬出計画について、適切な時期に提示できるよう取り組んでいくというお話もございました。さらに、中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合の措置といたしまして、施設外への搬出を含め適切な措置を講ずるというお話があり、またこのタイミングで事業を開始するということについては、原子燃料サイクル事業の柔軟性を高めるということ、それとあわせて順次稼働していくことが重要であるというお話がございました。
大臣への確認事項ですが、国として原子力・核燃料サイクルの推進という基本方針を堅持するということ、国民理解の推進ということでいくと、国も前面に立ってしっかりと取り組んでいくという内容を伝えられています。事業者の指導についても、青森県が事業者と確認した内容について、国としても事業者を指導するという発言もございました。また、さらに、ここ非常に重要だと思うのですが、中間貯蔵事業の環境に関する確認の仕組みということで、使用済燃料対策推進計画の中で、中間貯蔵施設における使用済燃料の輸送、貯蔵の状況を毎年度報告公表するよう、事業者を指導するという旨の発言がございました。さらに、大臣からは中間貯蔵事業の位置付け、搬出先の明確化について発言がございました。中間貯蔵施設の意義、重要性については、次期エネルギー基本計画において明確に位置付けるということと、使用済燃料の搬出先について具体化を図るべく検討をしっかりと進めるということがございました。また、それに当たって、安全性の確保を大前提として、六ケ所再処理工場の安定的な長期利用、六ケ所再処理工場で処理を想定した場合の課題と対応策等を検討するというお話がございました。このタイミングで事業を開始することについては国の意思であるということを確認し、また、核燃料サイクルの確立にはその環を構成する全ての施設について、着実な稼働を進める必要があるということ、さらには事業開始は極めて重要で、安全協定締結を進めていただきたいということでのお願いがあったと認識しています。
最後、むつ市長からは、市民から意見のあった使用済燃料の確実な搬出、国民全体への周知について事業者および国のトップの認識を確認できたこと、そのことについて事業者から文書の取り交わしについて合意を得たことや、経済産業大臣から搬出先について、次期エネルギー基本計画で具体化を図るという重要な発言があったということ、これを踏まえてむつ市として安全協定を締結できる環境が整ったため、県とともに締結を進めたいという旨の報告がございました。
以上を踏まえて、冒頭にありました安全協定および覚書を締結することが妥当という判断に至ったところでございます。この後は協定および覚書の締結と操業開始に向けて動いていくことになります。
○司会
それでは各社からご質問を受け付けたいと思います。ご質問のある方は挙手の上、ご質問をお願いいたします。
○記者
協定と覚書の締結ということでしたが、知事として、それだけでなく第2四半期中9月末までの事業開始についても容認、同意するという理解でよろしいでしょうか。
○知事
そこは容認するしないではなく、まず協定の締結を経て行われる使用前検査を経て、事業開始ができるかどうかということは、これからは事業者の努力になっていくと考えています。
○記者
知事の意向としては、事業を開始しても差し支えないという理解でよろしいでしょうか。
○知事
はい。当然です。
○記者
関連して、中間貯蔵は核燃料サイクルの一環ではありますが、そのサイクルの環がまだつながっていない状況です。ほかにも、事業者が中長期的な搬入見通しを立てることもできていません。この段階で安全協定の締結、事業開始にご懸念というのはございませんでしょうか。
○知事
そもそも中間貯蔵事業そのものが、元々施設の性質上、原子力発電所が動いているからとか、その再処理工場が動いているからということで、操業開始が拘束されるものではないと思います。そのことに今の質問の答えは尽きているような気がします。
○記者
関連しまして、搬出先として経産大臣も想定として挙げた六ケ所再処理工場ですが、依然としてまだ動いておりません。稼働の見通しも不透明な状況です。最長で50年後の搬出先という意味では、再処理工場がまだ動いていないという点をとってしても懸念がまだ残っている状況ではないのでしょうか。
○知事
これも繰り返し申し上げているのですが、時間の経過、時間軸の話だと思っていて、六ケ所再処理工場について、9月にしゅん工すると私は思っていませんが、近々しっかり稼動するということで、今、関係者が努力している部分でありますから、そうした環境が整えば、いずれその部分とも整合が図られていくものと考えています。
○記者
関連しまして、経済産業大臣が次期エネルギー基本計画で、搬出先の具体化を図りたいと述べられました。具体的なエネ基の議論はこれからですが、その搬出先の議論について、知事はエネ基での議論もしくは書きぶり、どのような点を期待されますか。
○知事
私は今この瞬間からこの課題に取り組んでいるわけではなく、むつ市長の時代から経済産業省に申し入れしていました。どこに搬出されていくのかについて一定の明確な表現が必要だということを繰り返し申し上げておりますし、今回は具体化に向けて取り組む、あるいは六ケ所の長期的な利用を検討していくというような2つのお話がありましたので、これがどのような記載になっていくかということは、私は自明のことだと理解しています。
○記者
改めて、中間貯蔵施設がこの2024年に安全協定締結、そして事業開始する意義について、知事の考えを伺いたいと思います。
○知事
中間貯蔵事業というのは、再処理を前提とする使用済燃料について、原子炉の近くにあるプールから移して乾式貯蔵する仕組みです。ですから、原子力行政全体の安全性が極めて高まる事業だと、私は認識しています。一方で、そういう環境の中で核燃料サイクル全体の運営の柔軟化を図ることにもつながると思いますし、核燃料サイクルの環の一つが完成するということは非常に大きいことだと考えています。
そういう意味で今回、諸環境が整った時点で、操業開始に向けて取り組んでいくことは、我が国のエネルギー政策にとって非常に大きな出来事だと私は考えています。
○記者
核燃料がむつ中間貯蔵施設に永久に置かれるのではないかという懸念がありました。永久に留め置かれるというご懸念はないと考えていますか。
○知事
それは基本的にないと思っています。まず1つは、法的にそのような環境にはありません。全量再処理であり、また中間貯蔵施設というのはあくまでも再処理を前提とする施設だからということです。それから技術的にもありません。地中深くに最終処分場を作ってでしか最終処分できないということでありますので、あくまでもむつ市の中間貯蔵施設は再処理のために一時貯蔵する施設だということに間違いないと、このことは私は市長のときから繰り返し申し上げています。
○記者
搬出先を巡る議論に絞ってお伺いします。県民や議会の説明会でも、搬出先に対する懸念は特に多かったと思います。知事は出席されてない説明会のご意見も全て目を通されたと伺っていますけども、その説明会での意見を通じて、搬出先を巡る懸念の多さであったりとか、内容についてどのようにお感じになりましたか。
○知事
伝統的な論点でありまして、私自身もその懸念は持っています。そういう中で今回、大臣の方から改めて、エネルギー基本計画でそのことについて具体化する、また六ケ所について長期利用を図るというようなお話がありましたので、一定の明確さを持って私自身も皆さんや県民の皆さまにご説明できる環境が整ったのだと理解しています。
○記者
大臣からのご回答の話がありましたが、今回かなり踏み込んだ見解を大臣から引き出した形になったと思います。総合的に判断されたと思うのですが、その中でもこの大臣の答弁の具体性が判断にはやはり大きく影響したということでしょうか。
○知事
もちろんです。総合判断というのは、今回お示しした協定の内容や覚書の内容、それから事業者からの回答、大臣からの回答、そしてむつ市長からの回答、全てがこの状態でなければ、ゴーサインは出せないと、元々私はそう思っていましたので、その中の一つの大きな要素として、大臣からの回答というものがあると理解してください。
○記者
今回、大臣、国から、これまでとは違った回答を示されたと思うのですが、これは事前のやり取りで、知事の方からかなり強く具体化を求めたということになるのでしょうか。
○知事
先ほども申し上げたとおり、この取組は今始まったわけではありません。もう既に20年前から県は取り組んでいますし、さらにその前からむつ市は取り組んでいます。私自身は市長として9年弱この課題に取り組んでいて、その中で搬出先が最大の論点になるということは、繰り返し経済産業省の方には伝えています。ただ市長として手が届かなかったのは、前回のエネルギー基本計画の中では、パブリックコメントのやり取りの中で、そのとき稼働している再処理工場というところまではお答えいただいていましたが、いよいよ操業が開始するというタイミングでは、県民の皆さまや市民の皆さまのそうした懸念を解消できるような回答は、絶対に必要だと思っていますので、そういう思いに経済産業省側も応えてくれたと考えています。
○記者
改めて搬出先については今後のエネ基の議論もありますが、知事としては大臣の発言というのは現時点では、まず六ケ所というふうに受け止めたという理解でよろしいでしょうか。
○知事
基本的にはそういうことだと思います。
○記者
先ほどの質問とも関連するんですが、再処理事業が本格的になっていない中での、中間貯蔵事業の稼働という部分についてですが、かつて知事としては、事業者であったり、国の方にその辺の論点の整理を求めた経緯もあるかと思います。今回この資料の方にも書かれているように、順次稼働させていく、いずれサイクルの環がつながるというところの、事業者ないし国の説明に知事として、この一連の議論を通して、納得されて、先ほどのようなお話になっているということでしょうか。
○知事
その前提が私の認識とは少し違っていて、そもそも中間貯蔵事業というのは、本来、東日本大震災がなければ、おそらく平成23年の時点でスタートできていた事業だったわけです。その時は、原発は普通に動いていて、でも再処理工場は基本的にはまだ稼働しているかどうかわからないという環境の中で、スタートするという事業だったと私は認識しています。ですから施設の性質として、まず再処理工場が動いていることが前提で動かなければならないものではないということで、私はそういうことを言ったことは今まで多分一度もないです。時間軸の中で整理されることだと繰り返し説明をしてきました。だから、そういう意味では再処理工場がしゅん工、完工して操業開始していることとの関係というのはそれほど問われるものではありません。ただ一方で、行き先がなくなるだとか、あるいはどこに実際出るのだということでいけば、ある一定の行き先についての見通しは必要です。かつては第二再処理工場に行くという記載がありましたが、一方で東日本大震災が起こって、新しい施設のことについて議論ができる環境ではなくなって、その記載がなくなってしまいました。それは地域にとっても、私達にとっても行き先について不安が生じるということにはなりました。でも今回、その行き先については経済産業省から一定の答えをいただいたということですから、そうした懸念も払拭されるだろうということだと思います。今ご質問のあったことに関しては、これはもう繰り返しになるのですが、まず中間貯蔵事業というのは原子力行政全体の安全性を高める事業であるということがあるので、ここはいつスタートしてもいい。さらに、ある意味核燃料サイクル全体の柔軟性を高めるということと、核燃料サイクルの環が一つずつでも完成していく姿ということも、これは必要だろう。ということには、私は一定の合理性があると理解しているので、堂々と進めさせていただきたいと思っています。
○記者
総合判断の判断理由について、先ほど、どの要素が欠けても、この判断に至らなかったというお話もありましたけれども、あえて判断をされる過程の中で、最も重要視したポイントというのはどういった点だったでしょうか。
○知事
それはやはりむつ市の判断です。これは立地地域のご判断がありますから、それはどう考えても一番重要視しなければならないことだと考えています。
○記者
法的だったりとか技術的であったりとか、お話のこのご議論の中では、再処理工場の稼働がまだ明確化しない中、どこに持っていくのかとかそういったお話もありましたけれども、そういった論点という意味では、どういったポイントを重視されましたでしょうか。
○知事
搬出先への懸念が一番大きかったと思いますので、これが一定明確化されたということは、判断の一つの大きな要素になったと思います。私は大きく前進したと思います。
○記者
先ほどの質問の中でも出ていましたけれども、エネルギー基本計画の中で議論されるということで経済産業大臣の方から説明も、回答を引き出しましたけれども、改めてこのエネルギー基本計画という国のエネルギー安全保障、エネルギーの大方針ですけれども、ここに位置付けられたと、位置付けるよう検討していくということの意味を、知事としてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
○知事
政府の方針、国としての政策の基本に当たるということが確立されるということだと理解しています。
○記者
覚書の中で、その事業が著しく困難になった場合に施設外に搬出するということが明記されるということですが、この著しく困難になった場合というのはどういう状況が想定されるのか、この具体的な条件というものを教えてください。
○知事
政策の一貫性が失われて核燃料サイクル事業をやめるということになったときはまさにそういうことだと思っております。
○記者
経産大臣の方から、六ケ所再処理工場の長期的な安定的な操業ということで、お答えがあったかと思いますが、運転の目安とされるのが40年というふうにされますが、40年を超えてのこの操業運転ということには、技術的に懸念ということもありますし不安の声も聞かれますが、こういったところにはどのようにご対応、お応えになりますでしょうか。
○知事
長期利用ということについては、議論はまだスタートしていないと認識しています。そもそも長期利用しなければ中間貯蔵が成り立たないのかということについても、これから議論が必要だと理解しています。
○記者
先ほどの質問の中で六ケ所再処理工場に関する知事の発言で9月にしゅん工するとは思っていないというご発言がありました。事業者の日本原燃は9月のしゅん工というのも今も掲げていますが知事としては、それは困難だというご認識でしょうか。
○知事
今回この一連の手続きを見ていただければわかるとおり、技術的に9月にしゅん工ができることになったとしても、社会的な手続きがこれから必要になるわけですので、なかなかそれは難しいのではないでしょうか。
ですから、そもそもそういうところに拘束されてないということは理解していただきたいと思います。
○記者
1つだけ確認です。社会的手続きというご発言からすると、しゅん工は操業という意味合いでしょうか。
○知事
操業というか、県民の意見を聞いたりですとか、あるいはそれこそ安全協定締結したりだとか、県議会の意見を聴取したりですとか、原子力政策懇話会の意見を聞いたりするというのをこれからお願いされても、多分ほとんど無理かなと思います。
○記者
細かいところで確認なのですけども、覚書の締結も同じ8月9日の予定ということでまずよろしかったでしょうか。
○知事
はい、そのとおりです。
○記者
先日のむつ市長との会談の中で、知事は大学生の頃からこの事業に関わってきたという話とともに、むつ市民のこの事業に対する思いというのをお話されていました。それで判断後に県民にはもちろん市民にもメッセージを送りたいということをおっしゃっていたかと思うのですが、改めて市民の思いを背負って協定締結する知事の今の思いというのをお聞かせください。
○知事
私は20年来、関わってきました。当時市議会議員だった父からこういう事業があるのだけどどう思うと聞かれたところから始まって、自分も就職した先が行政機関でしたので、さまざまな論点を父と一緒に整理しました。議員として海外視察に行くべきか、住民投票について法的にどのような整理をすべきか、あるいは、立地協定の締結に向けて何か考えることはないかとか。さらにはその過程の中では、当時のむつ市長の不祥事が重なったこともあり、また、自身の市長選挙でも争点になりその都度ある意味、激論を交わしてきました。ですから、この中間貯蔵事業については、本当に自分事として、自分自身の課題としてずっと考えてきました。特に平成26年に、むつ市長になってからはこれだけが、全県的な話題、全国的な話題になることが多かったので、慎重になりながらも大胆な論理展開をしてきました。当初、地元のむつ市は、大きなうねりのような反対がありましたが、今は静かに受け入れる体制が整っていると思っています。市長にも申し上げたのですが、その源泉にあるのは、事業者と市民の信頼関係以上に、むつ市政とむつ市民の信頼関係があって成り立っているということですので、それを忘れてはいけないと思いますし、そういう寛容な市民の皆さまの気持ち、そして県民の皆さまの多くは受け入れてくれると理解していますので、そうした寛容さだけを頼りにするのではなくて、私達はしっかりと厳しさを持って安全を追求していく体制をこれからも取っていかなければいけないと思っています。この判断で全部が終わるわけではなく、ここから始まりです。安全性の確保と、搬出先の論点については、私達は常に意識して取り組んでいかなければいけないですし、県民の皆さまやむつ市としては市民の皆さまに理解していただけるように、事業の進展に応じて、さらに議論が深まるようにしていく必要があると私は考えています。
○記者
今、県民の寛容さというお話がありましたが、一方で県民説明会の日付設定や形式などでは有りようについて意見もあったと思っています。そういうことを踏まえまして、県民からの意見聴取は十分だったと考えているでしょうか。
○知事
20年間お話をお伺いして、そして最終局面でいただいたご意見については一定の回答が得られるように、県も市も、それから事業者も、あるいは大臣も努力をして一定の答えを出していると私は理解しています。
○記者
その20年の間に意見を聞くタイミングがいくらでもあったという考えということでしょうか。
○知事
20年間の間にさまざまな論争を経て、今に至っていて、そのまず結実として、最終的に残った課題についても一定の答えをいただいているというのが今の状況だと理解しています。
○記者
最初は受け入れるものっていうのは再処理しきれない分ということで始まっていたと思うのですけれども、その説明が変わったという経緯があって。
○知事
それは全然違うと思います、再処理しきれない分を受け入れるわけではないです。再処理できるものしか受け入れない。リサイクル燃料貯蔵だから。それは全然理解が違うと思いますよ。
○記者
1つ前の質問でも少しかぶるところもあるのですが、今回の協定案の是非について、今後、仮に事業を開始した後は、例えばその協定に書いていることを事業者に守らせるとかそういったことを県としてはスタートすると思うのですが、安全性の確保であったり先ほどおっしゃった搬出先の議論であったりについて、事業開始後、県としてどのような姿勢で取り組んでいくのかということを改めてお願いします。
○知事
まず1つは安全性の確保については、不断の努力が必要です。1本目が入ってきて使用前検査があって操業開始する、それで終わりではなくて毎年しっかりそこの部分についてはチェックが必要です。それからもう1つ、大事なポイントで、毎年の搬入に当たって、その時点で核燃料サイクル事業が健全にその時点で、しっかり進んでいるかどうかを確認する仕組みを作ったわけです。ですから1本目が今回入ってくる、このまま順調に行けばなるというふうに思うのですが、来年また同じ状況の中で、今計画としては、来年3基入ってくるというタイミングで、またその議論はしっかりさせていただくということになろうかと思っています。これを毎年しっかり継続してやっていくことで、核燃料サイクルそのものが継続して実施できないと判断されるときには、私達は受け入れないと言うことができます。その時点で協定と同様に契約的な内容である覚書が発動して、それでは元のところに持って帰っていただきたいという話になると理解してください。
○記者
先ほどの知事のご発言で、寛容な市民の皆さまの気持ち、県民の皆さまの寛容さというお話ありましたけれども、この寛容さというものを少しご説明いただくと、どういった議論の流れでこの寛容な市民の皆さまの気持ちが出来上がってきて、今後、どのようにこの寛容な状態というか、その気持ちを維持していくのかということをお聞かせ願えますでしょうか。
○知事
まず20年という時間が必要だったのだと思っています。そして事業者からの安全性に対する丁寧な説明とそれを受け入れる環境が大事だったのだと思います。そうした環境の中で出来上がった、賛成とか反対を超えて受け入れるというような、その環境ということだと思います。これを確かなものとしていくためには、なお事業者は安全性に対する取り組みを強化しなければ、進めなければいけないですし、またそのことについて県民の皆さまの理解が得られるようにしていく必要があると私は考えています。
○記者
先ほど中間貯蔵事業の使用済核燃料の輸送・貯蔵の状況の毎年度の報告・公表についても知事は触れられておりましたけれども、先ほどの事業者との絡みでの県としての取り組みという質問がありましたが、この中間貯蔵がそもそも中間貯蔵たりうるには、知事ご指摘のとおり、核燃料のサイクルの環が閉じる必要があるかと思いますけれども、この環が閉じるために県として国に対してどのような姿勢で今後向き合っていくか、お考えをお聞かせください。
○知事
政策の一貫性とその安全性の確保について、主体性を持って取り組んでいただくということは常に確認しなければいけないと思っています。本来であれば、確認する必要のないことだと、むしろ国が積極的に発言すべきことだと私は思いますが、県民の皆さまが不安を感じるということであれば私の方からしっかりと確認していくことだと理解しています。
○記者
そうすると県民の間で不安を感じると、県民が不安を感じていると知事がご判断された際には、また大臣との折衝であったりとか、そういったことも進めていかれるお考えでしょうか。
○知事
そういうことになるでしょうね。
○記者
覚書について1点伺います。覚書というと、日本原燃六ケ所再処理工場、いわゆる日本原燃と結んだ覚書があります。この覚書に関しては、震災後、民主党政権の時に、まさに再処理政策の大転換をしようとした政権に対して、この覚書がある意味、実効性を発揮したような場面もありました。知事としては、今回結ぶこの覚書も法的拘束力はないといえども、実効性という意味ではどのようにお考えでしょうか。
○知事
これは一種の契約ですから、相互が履行義務を負うものだという意味では拘束力があるものだと理解していますので、効果が発動しないように取り組んでいただきたいとは思いますが、かなり意味のあるそういう覚書になるとは考えています。県民の不安を払拭するという意味でも意味のある覚書になると理解してください。
○記者
使用済燃料ですね、これから操業前の最初の試験のために、事業者としてはキャスクを搬入することになると思いますが、知事としては1基目のキャスクがいつ搬入されるべきかお考えでしょうか。
○知事
それは特にないです。この環境を整えて安全に操業ができる環境が整えば、それは使用前検査になると理解していますし、それこそ事業者が自ら言った期限に拘束されて、無理をしてやるということがないようにしてほしいと思います。かつてむつ市は、原子力船むつを受け入れて、これがある意味強行して出港して放射線漏れ事故が起こりました。当時の放射線漏れは人体に影響のない範囲だったということではあるのですが、当時やはり原子力に対する国民の理解や、あるいは住民の理解というのもなかなか進んでいなかった部分もあって、そういう意味では大々的にそういうことが取り上げられました。やはり事業というのは無理をすると何か非常に事故等良くないことが起こりますので、自らの期間に拘束されることなく安全に、まずは操業できる環境を作っていただきたいと私はそう考えています。
○記者
先ほどのご回答の中で、搬出先が最大の論点になるということは、かねてからお考えだったという話の中で、市長では手に届かなかった部分もあるというようなご発言があったと思います。前回のエネ基の時のパブコメとかを指しておっしゃっていましたけれども、知事と市長ではこの搬出先の担保を得る実効性っていうんすかね、やっぱり立場が違うと、知事でなければできなかった部分があるとお考えでしょうか。
○知事
それはまだよくわからないです。ただ、少なくとも当時市長の時にいろいろやり取りをさせていただいた経緯の中でいくと、まだ、そういう意味では要素としてどちらかわからないです。知事がお願いしたからできたのかということか、もしくは、今、この本当に稼働するタイミングだからそういう議論になったのかということはよくわからないです。ただ、少なくとも今の現時点で言えるのは、その3年前のエネルギー基本計画のパブリックコメントのやり取りの中で、その時稼働している再処理工場という言質があったということは、今回の大臣の回答に一定の影響があったと思いますし、その積み上げの結果、今回のような発言があったと私は理解しています。
○記者
先ほど国の関わりの部分で使用済燃料の輸送貯蔵状況を毎年度報告するよう事業者を指導するというところも今回仕組みとして新たに設けられた。これがですね、そのサイクル全体のこの継続性とかも確認するような役割を担うというふうな、先ほどのご発言だと、そういうことかなと思うのですが。
○知事
そのとおりです。
○記者
これは単純に数を国の方でまとめて公表ということにとどまらずにこの中でサイクルの推進というのも。
○知事
もちろんそうだと思います。はい、もちろんそのようにしていきたいと思っています。ですから、多分1基受け入れて、この環境で使用前検査が終わらなければ事業開始になりません。そもそも1基受け入れないと使用前検査ができませんから、この環境でまず受け入れて事業開始できる。RFSの施設の中には1基だけある状態になる。この状態だと、まだまだ引き返せるでしょう、我々は。ですけれども本格的に稼働するというタイミングでは、立地の概要にそう書いてありますが、年4回程度に分けて200トンから300トンを受け入れるということが前提の施設。それが始まってしまうと、もうそれが始まるタイミングですと引き返せなくなる可能性があると。だから引き返せる可能性をどこでポイントを作るかということも、とても大事なことだと思っていますので、ただ始めるだけではなくて、緊張感を持って始め、そして、その核燃料サイクルの進捗に応じて、この使用済燃料の量やあるいは施設の有用性というものが、施設のそのあり方というものは常に議論できるようなそういう環境を作ったということでご理解いただきたいと思います。
○記者
核燃料サイクルの継続に当たって知事が一番重要とお考えになるのは再処理工場のしゅん工、プルサーマルの実施の基数等あるかと思うのですけども、どの部分を重視して見ていきたいとお考えでしょうか。
○知事
これも、やはり全てが達成されなければ、核燃料サイクルというのは、達成できないと思いますから、順次、施設がその稼働していくことということには、稼働していくということが大事だと思っています。プルサーマルができなければ行き先がないですし、再処理工場がなければ再処理できないですし、中間貯蔵がなければ、原子力発電所が稼働しなくなるということですから、それぞれがそれぞれに重要な役目を負っているということだと思っています。
○記者
そういった部分もこの使用済燃料対策協議会の中で確認できることになっていくと。
○知事
確認できるというか、確認をしながら進めるということで考えています。
○記者
この計画を策定する協議会の中に、県が構成員として加わるということではないと。
○知事
それは違います。国が国としてそれをやり、私達は私達としてその計画を受けて、その当該年度の搬入について判断をさせていただくということだと思います。
○記者
今回、覚書の締結ということに今至ったと思うのですが、当初核燃料サイクル協議会というのも一つ選択肢の中には当初あったかと思いますが、今回サイクル協議会を開催せず、大臣確認と覚書というふうになった理由っていうのは何かございますでしょうか。
○知事
現時点では、必要十分な対応だと感じています。核燃料サイクル協議会については、いずれお願いしなければいけないと思いますし、まだそういう意味では操業開始しておりませんから、操業開始後にしっかりその部分についてはまたさらに検討していきたいと思います。開催するかしないか、開催の必要はどういう部分にあるのかということについて、検討していきたいと思います。
○記者
では、中間貯蔵メインのテーマとしてのサイクル協議会は今後県の開催する可能性はあると。
○知事
もちろんあると思います。それは常にある。何かが起こればありますし、何かが起こらなくても本格的に稼働するとかいうタイミングであるかもしれませんし、必要に応じてやるのが核燃料サイクル協議会だと思っていますので、その必要性が判断されたタイミングでお願いすることになると思います。
○記者
今回妥当という判断は最終的には本日ということになるんですけども、知事の中で先週むつ市長の報告を受けて、その後、週末とかどのタイミングで妥当、締結できるというふうに決断したというのがありますでしょうか。
○知事
土曜日に最終的には今日以降というか、今日。いろいろな日程があるので、今日この夕方の時間は少し時間が取れるということとか、2週間ぐらい先に何時間取れるとかその先に何時間取れるということは、時間としては確保していましたので、そういう意味で今日やるということについては土曜日に皆さんからの資料が出尽くしたのでそれをしっかり考えて協議しましょうというお話を決断したところでございます。
○司会
最後に知事からお願いいたします。
○知事
エネルギー政策そのものについて少し言及させていただきますが、我が国において、エネルギー政策というのは国家の存亡に関わらず、重要なものだと私は理解しています。第二次世界大戦を振り返ると、石油を自給できなかったと、アメリカに8割ぐらい依存していたということが、決定的な痛手となって、そういう意味ではエネルギーを巡る戦いだと言っても過言ではない、そういう戦争があったわけです。そこで300万人とも言われる国民が亡くなったということです。
ですから、日本全体としてエネルギーが安定供給できるようなその体制環境、これを、国と地域が挙げて協力して構築していかなければいけないというのは、我が国の本当に根幹的な課題です。必要不可欠なことだと私は思っています。これは別に戦争に備えろとか戦争に勝つためだとかそういうことではなくて、国民を不幸にしないために本当に私は大切なことだと思っています。
一方で、東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故も相まって、原子力に対する厳しい目が向けられています。原子力行政に対しても、これも私は当然なことだと思っています。
こうして、受け入れるというような決断や進めるという判断が、結果このように、丁寧にお答えしても多少なりとも批判があるということも理解していますし、承知もしています。さらに、お金目当てですとか、そのお金というのは財政上のですね。お金目当てですとか、あるいは地域に勝手にレッテルを貼って馬鹿にしたようなレッテルを貼ったりするとか、そういうことを普通にみんながしてくると、ここにいる皆さんではなく、一般論です。ですけれども、今回はやはり青森県として、この国の重要政策であるエネルギー政策に多大な貢献をするということは事実で、そのことについて齋藤経済産業大臣からは、まず第一に感謝の言葉がありました。ですから私も今回受けるにあたっては、理解を示していただいている全ての県民の皆さまや有識者の皆さま、そして、県議会の皆さまに感謝申し上げます。
ただ、協定を締結して、使用前検査が終了して、操業開始されるということがこれ終わりではないです。そこからの仕組みも、私はしっかり作ったと思っています。まず本事業が、予定どおりにスタートして我が国のエネルギー政策に貢献していくためには本当にこれからが大事で、これから事業者も国も我々も、青森県もむつ市も不断の努力をし続けなければ県民の皆さまの安心安全ということの付託には答えられないと思っています。県としても、今後も主体的に安全の確保と事業の完結に向けて尽力していくことを改めてお約束申し上げます。
最後になりますが、こうした環境を作っていただいた、まずは本当に立地地域のむつ市民の皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思いますし、また、ご理解いただける青森県民の皆さま、そして、受け入れていただける全ての県民の皆さまに感謝を申し上げて私からの発表事項とさせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
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