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更新日付:2024年11月20日 広報広聴課

知事記者会見(定例記者会見)/令和6年11月1日/庁議報告ほか

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知事記者会見録

会見日時:令和6年11月1日金曜日 11時00分~12時05分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事

〇幹事社
 ただ今から定例会見を始めます。
 まず、知事からご報告をお願いします。

〇知事
【陸奥湾ホタテガイ総合戦略について】
 近年、陸奥湾の環境の変化や中国の禁輸措置によって、極めて危機的な状況にあるホタテガイ産業ですが、中長期にわたって陸奥湾の再生とホタテガイの新時代を迎えるために、この1年かけて現場との対話も重ねながら、今回、この陸奥湾ホタテガイ総合戦略を策定しました。
 陸奥湾のホタテガイ養殖業は、関連産業と密接に結び付き、地域経済を支える重要な役割を担っています。そのため、生産者や関係団体、加工販売事業者、試験研究機関、行政機関といった全ての関係者が対話を重ね、危機意識を共有しながら、一致団結して取組を進めていくことが必要です。
 施策の展開方向としては大きく2つあり、産業を守る観点から、共存・共助の仕組みづくりを進める「産業を守る仕組みづくり」と、未来を創る観点から、ダイナミックな産業革新に取り組む「未来を創る産業革新」に注目して、「生産高度化」、「経営力強化」、「販売促進」の3本柱で施策を展開していきます。
 施策体系として、安定生産と成長産業化の実現による加工等も含めた300億円産業の構築に向け、3つの施策の柱、11の施策、35の具体的な取組に整理し、推進していくこととします。
 「生産高度化」については、安定採苗に向けた連携体制づくりや効率的な採苗の技術開発のほか、DXの推進、高水温に対応した養殖技術の開発に取り組みます。
 「経営力強化」については、経営安定に向けた生産体制の見直しやリスク分散のほか、協業の推進、事業承継の円滑化に取り組みます。
 「販売促進」については、ホタテガイ加工業の振興のほか、国内の需要拡大、海外市場への安定した販路構築に取り組みます。
 策定した総合戦略のポイントは5つあり、1つ目は、ホタテガイ産業の安定生産と成長産業化を目指した初めての総合戦略であるということです。
 2つ目は、3つの施策の柱、11の施策、35の具体的取組を総合戦略により実施していくこととしました。
 3つ目は、10年後の目指す姿として、加工等も含めた300億円産業の構築を明示しています。
 4つ目は、関係者との「対話」を通じて課題を洗い出し、新たな取組に挑戦することとしています。
 5つ目は、基礎研究と技術開発により、生産高度化を実現することを明示しています。
 ホタテガイ産業が青森新時代を迎えられるよう、安定生産と成長産業化の実現を目指し、生産者、漁協、関係団体、事業者、市町村、県がこれからも対話を重ね、連携し、それぞれが主体性を持って、陸奥湾から新たな希望が生まれてくるような取組を進めていきますので、関係各位のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 なお、この戦略については、この後、生産団体や各漁協、各市町村に丁寧に説明して、それぞれが責任を持って、しっかりとした対策を執り行っていく体制を構築していきます。

【統合新病院の整備に関する今後の進め方について】
 統合新病院の整備に関する今後の進め方についてご説明いたします。
 まず1点目は、プロジェクトチームの設置についてです。
 候補地が決定したことによって、各分野で新しい論点が出てきました。そうしたところに対応していくため、庁内関係部局である交通・地域社会部、健康医療福祉部、県土整備部、危機管理局、病院局、教育庁によるプロジェクトチームを設置します。プロジェクトの推進にあたっては青森市と連携し、スピード感を持って進めることとしています。
 具体的には、「統合新病院」の建設・運営をはじめ、「県営スケート場(サンドーム)」、「道路交通対策」、「浜田中央公園」、「まちづくり」の各項目について県の担当部局を定め、青森市の担当部局と緊密に連携、協力し総合的に進めていきます。
 2点目は、令和7年度以降の共同プロジェクト組織の検討についてです。仮称ですが「統合新病院設立準備室」の設置を検討することとしています。
 3点目は、浜田地区の地域住民の皆さまへの対応についてです。9月に浜田地区の町会が独自に行ったアンケートの結果も踏まえながら、改めて住民の皆さまとの懇談会等を開催し、情報を共有の上、ご意見やご要望を伺いながら丁寧に対応していきます。
 また、県営スケート場の利用者に対してもご意見を伺うなどの対応をこれから行っていきます。

【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
 それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問に移りますが、質問は簡潔になるようご協力をお願いいたします。
 質問のある方は挙手をお願いします。

〇記者
 ホタテガイ総合戦略について、4点ほどお伺いします。
 まず総論として、昨年の高水温対策パッケージに続くホタテ政策第二弾となる今回のホタテ総合戦略を策定して、漁業者や関係団体に改めて伝えたいメッセージがございましたら、知事から一言お願いします。
  
〇知事
 私たちは陸奥湾ホタテを産業として捉え、これを安定・高度化し、育成していくという方針を改めて漁業者の皆さんにお伝えすることで、希望を持って陸奥湾ホタテガイの養殖や陸奥湾周辺でのホタテガイの加工に取り組んでいただきたいという思いがあって、今回、総合戦略を策定しました。

〇記者
 分野ごとに、まず生産分野で2つお伺いします。まず、養殖規模に応じた親貝の下限を各漁協に割り振るとのことですが、親貝の下限はいつ頃から各漁協に割り振られるのでしょうか。また、もし制限を達成できない場合、何かペナルティなどはあるのでしょうか。

〇知事
 下限の割り振りについては、これからご協力いただく内容ですので、いつからやるということは明言できませんが、少なくとも来年度ぐらいからは各漁協と協定のような形を締結して実施していきたいと考えています。
 また、制限が守られないからといって罰則があるものではなく、紳士協定のようなものだと理解しています。

〇記者
 戦略の中で、「生産者の共助による基金常設」という文言がございました。基金といいますと、昨年の高水温の際、県はむつ湾漁業振興会がつくりました4億円の基金に2億円を拠出しました。
 今回、この基金の常設について、これはどなたが中心となってつくる基金なのか、また県の予算としてどれくらいを拠出することになりそうなのか、具体的なものがございましたらお願いします。

〇知事
 昨年、我々が基金の積み増しをしたのは、親貝確保のために販売価格にオンするための予算措置でありますので、協業化の基金とは少し違うと考えています。
 協業化に関しては、まずは生産者同士、漁業単位での共助の仕組みづくりが重要であり、必要な資機材は個別で購入するよりまとめて購入しよう、新しい機材をみんなで使おうという話ができる環境を作っていくことだと考えています。
 そうしたことに補助をするかどうかはその先の段階にあると考えていますので、予算規模がどうなるかというよりは、まずは仕組みづくりからスタートするということだと理解しています。

〇記者
 経営分野で、「漁協経営基盤の強化に向けた漁協の合併」という文言についてお伺いします。漁協の合併といいますと、県漁連は2025年度までに、現在44ある漁協をブロックに再編する計画を立てて各漁協に協議を促していますが、財政状況の違い等からなかなか進展せず、県漁連幹部の中でも県や市町村に積極的な各漁協の仲介を求める声がございます。
 県として、今後漁協の統合に関して、積極的な関与や仲介等をするお考えがございましたらお願いいたします。

〇知事
 合併せざるを得ない環境に追い込まれて合併することは、避けなければならないことです。さまざまな事業を構築していくにあたって、規模のメリットを発揮するための前向きな合併でなければならないと考えています。合併を推進していくという方針は、新規の方針ではなく、県としてこれまでもあった方針だと理解しています。
 今回、ホタテガイという文脈の中でここに明示して、そして漁協の皆さんや漁業者の皆さんにどのように考えていただけるかということは、もう一度よく対話をしながら進めていくべきことだと考えています。

〇記者
 間違わないように確認ですが、そこはまず漁業者同士の対話があって、県としてはそれの様子を見ながらということでしょうか。

〇知事
 様子を見ながらというより、まず方針を打ち出して、それについて漁業者や漁協がどう考えるかというところを、私たちとして見ていきたいと考えています。

〇記者
 統合新病院に関して、地元住民への対応について、アンケートの結果を踏まえて懇談を実施するとのことですが、知事として懇談の中でどのような話し合いをしたいと考えていらっしゃいますか。

〇知事
 アンケートの中身を要約すると、地域活性化への期待感や病院があることの安心感などの前向きな意見がある一方、交通渋滞への懸念や救急車・ドクターヘリの音に関する心配、生活環境の変化への懸念、浜田中央公園がどうなるのかという心配がありました。
 そういったことを丁寧に、私たちの考え方を説明していくことになると考えています。

〇記者
 今の質問に関連してお伺いします。浜田地区住民との懇談に関しては、宮下知事が直接懇談される予定はありますか。

〇知事
 特にありません。

〇記者
 プロジェクトチームに関して、人数の規模感はどれぐらいになるのでしょうか。

〇知事
 具体的な人数は算定していませんが、各部局2~3人程度であれば、相当な人数になると考えています。

〇記者
 令和7年度以降に設立準備室の設置を検討するとのことですが、今すでにある合同検討チームとのすみ分けはどうなるのか、もしくはこれを継承する形になるのか、今の時点でのお考えをお聞かせください。

〇知事
 今のチームを発展的に解消し、新しい組織ができるイメージだと考えてください。
 しっかり組織を作って、縦のラインを作ることは大事だと考えています。

〇記者
 プロジェクトチームは、具体的にいつ立ち上がるのでしょうか。

〇知事
 11月中に立ち上げる予定です。

〇記者
 青森市と連携して進めるとのことでしたが、具体的にどのように連携することを想定していますか。

〇知事
 それぞれカウンターパートになる部局がいますので、例えば、医療薬務課には市の保健部局、教育庁には市の教育委員会といったように、それぞれにカウンターパートがついてくるものだと理解してください。
 泥縄で進めているわけではなく、候補地が決まって論点が見えてきたので、このような形でプロジェクトチームを立ち上げて、市とそれぞれの部局が連携していくのだと理解してください。

〇記者
 これまで有識者会議や市の検討会議など、基本フルオープンでの議論を行ってきました。スケート場の移設やまちづくりの検討ですと、県民も非常に関心の高い議論だと思います。現時点で、この組織の議論はオープンにするとか、そういったところは決まっているのでしょうか。

〇知事
 あくまでも部局内の検討ですので、オープンにすることはありません。もちろん、皆さんにお知らせしなければならないことや、世の中の信を問うようなことがあれば、適宜オープンにしていきます。

〇記者
 ホタテガイ総合戦略についてお伺いします。こちらのホタテガイ総合戦略は、知事の公約の中にもありました。そちらがまず形になったことへの所感と、これをどのように発展させていきたいかというお考えを、改めて教えてください。

〇知事
 ここからやっとスタートできると私自身は感じています。ホタテガイ産業や漁師の皆さんたち、漁協への支援を始めることで、「何でホタテだけ」という県民の方々のご意見もあると思いますが、ホタテガイ産業は地域を支える300億円産業になりうるものだということを、県民の皆さまには理解していただきたいと考えています。
 また、ホタテガイ産業に携わっている方々は、それが地域の経済を支えているという誇りを持っていただきたいと考えています。
 この2つをしっかりとこの戦略の中で表現したいと考えていますし、各主体の主体的な取組が必要な部分もありますので、関係者一丸となって取り組むきっかけになってくれることに期待しています。

〇記者
 統合新病院についてお伺いします。昨年度末に行われた全員協議会では、県議会議員の方からも県と市の組織の改編について指摘があり、知事は進捗状況に応じて検討すると答弁されていました。
 令和6年度、県庁組織が大幅に改編されたタイミングで、こういった県としての準備室を設置しなかったのはなぜかというところを教えてください。

〇知事
 このプロジェクトチームを設置することとなったきっかけは、候補地が決定して論点が確定したことです。
 ただ単に病院を整備するだけではなく、県と青森市のインフラ整備の再編が含まれる内容となり、県としても県庁を挙げて全面的にこのプロジェクトを推進する必要があることから、今回、プロジェクトチームを設置することとしました。
 昨年度の組織再編の中では、そういったところまでは見えておりませんでしたので、昨年度はできなかったということは、皆さんも理解していただけると考えています。

〇記者
 先ほども質問がありましたが、現在すでに合同検討チームが一緒の部屋で仕事をしていますが、個人的には同じ部屋にいるのに本当にコミュニケーションがとれているのかと思うところもありました。新たな組織再編によって、そういったところは解消されるのでしょうか。

〇知事
 指揮命令系統をはっきりさせることが新組織の眼目ですので、病院建設を進めるためには、まさに意思統一された中で組織を明確にして進めていく必要があると考えています。

〇記者
 ホタテの総合戦略について、3点ほどお伺いします。
 1点目、10年後の目指す姿として加工等含めた300億円産業の構築という目標を掲げています。生産者、加工業者ともに担い手不足が課題となっている中で、今以上の規模の産業に育てるという実現の可能性についてどのようにお考えでしょうか。
  
〇知事
 この目標を掲げたからには、県も含めて関係者一丸となって取り組んでいきます。目標値が低ければ低いほどじり貧になっていきますし、生産量を確保して、加工も含めて高付加価値化し、そして販路を開拓していくことで、必ずしも達成できない目標ではないと考えています。

〇記者
 2点目、今回の総合戦略の中で、従来よりも踏み込んだ政策を打ち出している部分もありますが、そのあたりどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

〇知事
 5つのポイントを見ていただきたいのですが、例えば、今まで漁師の皆さんが困っていた分野や、加工業者の皆さんが困っていた分野を取り上げて、集中的にその課題に取り組んでいくことだと考えています。
 水産研究所がより漁業関係者に寄り添った調査研究をするということと、漁師の皆さんが日常的に困っている残さ処理についても課題として挙げて、解決の道筋をつけていくという方針を出していること、それから加工業者の皆さんが全世界に販路を開拓しなければいけない状況の中で、県もそれに主体的に取り組むという方向性を出したということは、非常に私自身としては大きいと考えています。それらを一つずつ丁寧に解決できれば、ホタテガイ産業が良くなってきたと実感してもらえ、産業が隆盛していくきっかけになっていくと考えています。漁師の皆さんや加工業者の皆さんの所得が増えていけば、参入する若い人たちも増えてくるという好循環を作っていきたいと考えています。

〇記者
 最後、親貝確保対策や協業化の推進など、生産者の方に協力を求める部分があるように見受けられますが、生産者の方の理解をどのように得ていくのでしょうか。

〇知事
 総合戦略を作る過程の中でも、皆さんからご意見をお伺いしていますので、漁協レベルでは理解が進んでいます。どのようにして漁師の皆さんの理解を得るのかについては、この取組は漁師の皆さんのためであり、そしてそれをつないでいく人たちのためであるということを、私たちからしっかりと説明させていただきます。

【質疑応答】
〇幹事社
 次に、報告以外の案件に対する質問に移ります。それでは幹事社の方から1点、質問させていただきます。
 10月27日に投開票された衆議院選における県内の選挙結果について、受け止めをお願いします。

〇知事
 政権がどうなるかという非常に重要な選挙だったにも関わらず、県内の投票率は51.61%と、約半数の方が投票に行っていないということで、非常に残念に感じています。

〇記者
 全体の結果でいうと自公で過半数割れしまして、県内では3区で自民党の候補者が落選し、立憲民主党では比例区を含めて2人の国会議員が誕生しました。
 今回の選挙結果を受けて、今後、県政への影響があるかどうか、見通しはいかがでしょうか。

〇知事
 県内選出の国会議員の構成がどう変わろうとも、県政に影響がないようにすることが私自身の務めであり、これまでと同様、ぶれることなく青森新時代に向かって進んでいきます。

〇記者
 個別の選挙区について、政治と金の問題の当事者でもあります3区の自民党候補者が落選しました。この結果から、県内の有権者の民意がどのようなものだったと受け止めていらっしゃいますでしょうか。

〇知事
 3区は保守分裂的な要素が多少あったので、もしそうでなかったら違う結果になっていた可能性があると考えています。
 ただ一方で、1区と2区は野党側の票を積み上げれば自民党を上回る票になりましたので、これは全選挙区とも自民への逆風が吹いていたのだと私は受け止めています。

〇記者
 県内の比例票について、自民党や公明党、共産党など、割と強い組織を持つ政党が大きく議席を減らしていまして、その組織の影響力の低下が見えてくるという分析もあります。
 昨年の知事選でのご自身の戦い方を含めて、県内の政治状況がどう変わってきたか、今後さらにどう変わっていくか、その見通しについてはいかがでしょうか。

〇知事
 今回の票の出方を見ると、県民の皆さまも、政策をしっかり見るようになっているのだろうと受け止めています。
 もう1点は、さまざま国政の報道で行われていることが青森県内でも起こるようになってきているのだと考えています。かつてはそうではなく、保守的な地盤だったと考えられますが、少し風向きが変わってきていると考えています。

〇記者
 政策を見るにあたって、インターネットの存在感が回を増すごとに大きくなっていると思いますが、ご自身の去年の経験も踏まえて、インターネットでの情報発信がこのような動きを加速しているかどうか、いかがでしょうか。

〇知事
 県内に関しては、それほどインターネットが活用されていたようには感じませんでしたが、国政レベルではかなり活用されていると感じました。
 インターネットで動画を見るのは、投票率が高い50代以上の人たちよりも、それ以下の年代の人たちが多いので、インターネットによる影響はあまりないのではないかと考えています。
 それよりも、やはり中身を見て投票する有権者が増えてきていると感じています。
 そのため、個人とのつながりを大事にしないと、選挙というのはうまくいかないだろうと考えています。

〇記者
 所属する組織がこの候補者を応援しているからこの候補者を応援するというより、個々の候補者なり政策を見ているということでしょうか。

〇知事
 個人、振る舞い、政策をしっかり見ることが増えていると考えています。それは、社会の在り方がそうなってきているためであり、昔はみんな大きな会社に所属して、会社の方針の中で人々が政治選択をする場面もあったでしょうし、大家族のおじいちゃんが一生懸命応援している人を家族で応援しようという世界観は、青森県やほかの地方でもありました。
 ところが、今は核家族になっていることに加え、核家族の中でもそれぞれがスマホを持って、それぞれの人が一人ひとりの世界観を持って生活している環境になっているので、その一人ひとりの世界観や生活観に、いかに響く人物、振る舞い、政策であるかが大切にされてきており、これからその流れは加速していくと考えています。

〇記者
 知事はSNSに「今回の選挙の争点をどう考えますか」ということで、政治の浄化、人口減少対策、経済財政政策の3つを挙げておられました。今回の選挙戦を振り返って、この論点、争点がしっかり県内で議論されたかどうかというところをお聞かせください。

〇知事
 政治の浄化について、政治とお金の問題は、今回の結果に非常に大きく影響しただろうと考えています。さらには、選挙の途中で2,000万円支給という話が出てきたことが、とどめを刺したと考えています。

〇記者
 先ほどの質問にもありましたが、現職の方が落選したことで、青森県内選出で新しく国会議員になられる方が何人か生まれました。こういった方と、今後どのように関係を作っていかれるか、あるいは国政の場でどのような活躍を期待されるか、お聞かせください。

〇知事
 関係をどう築いていくかということは、お互いの課題であり、今のところ全く接点がないので、私自身も今後どうしようかと考えていました。
 また、県内選出の国会議員の皆さんに望むことはただ1点であり、県の政策に対してご協力いただきたいということです。やはり国に訴えなければいけないことはたくさんありますので、与野党含めてそこについては応援していただきたいと考えています。

〇記者
 冒頭の質問で、2人に1人が選挙に行っていない状況で残念だったというお話がありました。今回、超短期決戦という選挙だったので、選管の皆さんは相当大変だったと思いますが、選挙投票への呼びかけ、選挙公報という意味で、何か残った課題ですとか、今後さらに投票率を上げていくためにこういったアイデアがあるのではないかなど、お考えがあったらお伺いします。

〇知事
 報道されていないことに真実が含まれているのではないかと考えています。今回の選挙に関して、候補者の発言など、報道されているものを見て、なるほどと思うところもありましたが、報道の内容が今までと同じであると感じました。確かに、候補者がどうなったのか、この後、政権がどうなるのかも大事なことですが、半分の人しか投票に行っていないのはなぜなのかを突き詰めていかないといけないと考えています。
 昨年の知事選の時に、20時に当確を出していただいて取材を受けた際に、投票率が57%ぐらいだと聞いて、4割の人が選挙に行っていないというのが私の直感でした。
 投票率の低さの原因を突き詰めていかなければ、いい国にならないと考えています。

〇記者
 選挙期間中、立憲民主党の安住前衆議院議員が青森に来た際に、宮下知事になって青森の政治の空気が変わったというご発言をされていました。
 振り返りますと、知事ご自身も知事選の際に選挙の歴史を変える、青森県の新しい風になるというふうにご自身の挑戦をおっしゃっていましたが、その観点から申し上げると、ご自身の戦い方や結果が、今回の衆議院選に与えることができた影響というのは、何かございますでしょうか。

〇知事
 まず、私の発言についてですが、今までの選挙では、どこからともなく湧いてきた公約を振りかざして、それを一方的に伝えていましたが、私の公約は数か月間をかけて地域の人たちや県民の人たちとの対話を通じて作り上げたものであり、当選して知事になり、公約を実現することができれば選挙の歴史が変わるという趣旨です。
 知事選は、全県で行われる最重要選挙の一つですから、今回の衆議院選への影響は当然あったと考えています。当時の選挙では、保守分裂という新しい構図ができ、さまざまな争点があって結果が出たものですので、もちろん影響があると考えています。
 私を応援してくれた人の中には、もちろん自民の人、立憲の人、他の政党を応援している人などさまざまいらっしゃいますので、それが一方的ではないという意味では、風向きは当然変わっていると捉えるべきだと考えています。

〇記者
 投票率の関連でお伺いします。なぜ51.61%になったかということを突き詰めて考える必要があると思いますが、知事としてはどのように分析されていますか。

〇知事
 無関心だということだけではないのではないかと考えています。メディアの皆さんには、
 投票していない48.39%の方々に対して、どうしたら政治に参画してくれるのかというアンケートを実施していただいて、結果を教えてもらいたいです。

〇記者
 青森県内の傾向を見ると、衆議院選の投票率は年々減少していますが、なぜそうなっているのかというのは、知事としてどのようにお感じになられていますか。

〇知事
 無関心だから、投票しても変わらないからということは言われていますが、本当にそれだけなのかを知りたいと考えています。なぜ投票に行かないのかは、私には分かりません。

〇記者
 りんごの盗難の増加について2点ほどお伺いします。県警本部がまとめたところによりますと、2023年に県内の畑で発生したりんごの盗難が9件と、過去5年間で最多となり、被害額は37万円とのことでした。
 最近もつがる市内の畑でりんごが約3,000個盗まれて、すでに昨シーズンを超える60万円の被害が出ております。
 まず、1点目として、昨年、過去5年間で最多のりんご盗難件数となり、また今年すでに昨年の被害額を超えて、盗難が広がっていることについて、知事の受け止めをお願いいたします。

〇知事
 りんごの盗難は、生産者の気持ちを削ぐものであり、あってはならないことだと考えていますし、本当に激しい憤りを感じています。
 警察だけでは防ぎきれない部分もありますので、地域や農家、農協と連携して、盗難が増えないように取り組んでいただきたいと考えています。

〇記者
 弘前市などでは対策として、りんご畑の防犯カメラの設置の補助などを実施しているようですが、畑の面積が広い中、農家さんだけでは費用面の負担の限界もございます。
 県として、りんご畑の防犯対策として今後何か具体的に支援などなさるお考えがありましたらお知らせください。

〇知事
 必要に応じて検討していきますが、まずは自助が大事だと考えています。値段が安いカメラもさまざまありますので、まずは自衛を強化してほしいと考えています。
 それだけでは対応しきれない部分は、地域や農協と連携して取り組むことが大事だと考えています。

〇記者
 知事が争点に掲げられた政治の浄化について、知事ご自身は政治の浄化が果たされたとお考えですか。

〇知事
 果たされておらず、むしろ途中で2,000万円の問題が出て、より一層深刻になったと考えています。
 いわゆる裏金の問題があったことで、岸田さんが辞任に追い込まれて、解散しなければならない環境になり、それを取り戻すために、額の大きな不記載のあった人たちを非公認にする、比例名簿から除くなどの措置を講じました。それで済むかどうかというのがまず一つの争点だったはずです。
 ところが選挙の途中で、政党交付金という税金を原資にしたお金を非公認の党支部に渡すことは、これは国民から絶対理解されないことであり、むしろそのことによって深刻化したと考えています。
 そもそも、今回の所信表明の中で、「ルールを守る」というのが最初にきていました。国民を守る、日本を守るというのが先にこなければならないものであり、これについては疑問に感じています。「ルールを守る」というのは保育園のお約束であり、それを表明しておきながら、ルールを守らなかったということは国民が怒って当然のことです。

〇記者
 話題変わりまして原子力政策について、昨日の共創会議について伺います。
 工程表を取りまとめされたことで、今後は県の方で地域振興計画を作って、その上で25億円の国の交付金を受けて事業を行うという流れになるかと思います。地域振興計画はいつ作って、この交付金の5年間の開始年度はいつとお考えでしょうか。

〇知事
 来年度から開始できるように計画を作り込んでいくということで考えています。

〇記者
 来年度に交付金をスタートさせるということでしょうか。

〇知事
 そのために、計画自体は作り始めるということです。

〇記者
 来年度、単年度5億円を上限とした交付金を使うにあたって、全ての事業を5億円で網羅できるわけではないですから、知事としてはどの事業にその5億円を充てたいとお考えでしょうか。

〇知事
 今後、検討していきます。ホタテガイ総合戦略やこども・子育て「青森モデル」などは、発表したばかりであり、グリーントランスフォーメーション青森の事業にも私は期待しています。
 財源は有限であり、そういった事業についてひとつひとつ精査して、その中でこの事業に充てていくものだと考えています。

〇記者
 投票率の話に戻りまして、先ほど知事から、これまで企業や家族の方針で投票していたのが、個人が政策や振る舞いを見て投票しているというお話がありました。個人が情報に到達して、判断するという時代になっている中で、情報リテラシーの格差ですとか、日々生きていくだけも大変な人はそういう情報に到達できないという、県全体の問題もあると考えています。そういうところにどう問題点を持って解決に向かっていくのかお伺いします。

〇知事
 選挙報道をいかに有権者に伝えていくかというのは、県政としての課題というよりもメディアとしての課題であると受け止めて、皆さんで少し考えていただきたいと思います。
 もう一つは、政党や政治家個人の課題でもありますので、より届きやすいさまざまな工夫をこれからはすべきだと考えています。
 また、リテラシーというところでいくと、今の時代はAIにコントロールされるようになっており、ショート動画などは自分が見たい情報しか流れてこなくなりました。例えば、一度どこかの政党の動画を良いと思って見ると、その政党の話しか出てこなくなってしまうので、メディアリテラシーについてはしっかりと教育の中で培っていかなければならないと、改めて感じています。

〇記者
 メディアの報道はもちろんそうですが、そこにすらたどり着かなかったり、例えばメディアで、いつ誰がここに行きますという情報があったとしても行かずに、そこで直接話して判断するというところに到達しない人たちもいるかと思いますので、そこは県も考えていく問題ではないか思うのですが、そのあたりいかがでしょうか。

〇知事
 例えば、自分の市長選挙での経験から、市内を歩いていても「えっ、選挙あるの?」という人が結構多いです。今回、投票に行っていない48.39%の人たちの中で、情報が届いていない人がどれぐらいいるのかというのは、きちんと分析することが大事だと考えています。

〇記者
 原子力について、海外から返還される低レベル放射性廃棄物の問題について伺います。電事連の打診を、知事も六ケ所村長も拒否される場面がありました。そもそも検討できる体制にもないというお話でしたが、改めて、検討できる段階というのは再処理工場の完成を指しておられるのかということと、そもそもこの低レベルを高レベルに置き換えるという手法への是非についてのご認識をお伺いします。

〇知事
 高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが今このような状況の中で、そういう話はできないということで門前払いだと話をしました。
 そのため、今の時点で、手法がどうなのかということについて考える必要はないと考えています。

〇記者
 衆院選に関連して、自公過半数割れになったことによって、国政では今、103万円の壁の引き上げやガソリンの税率軽減などが争点になっています。その辺の減税的な政策への知事のご認識をお伺いします。

〇知事
 減税は、今の経済状況の中では必要不可欠な政策の一つだと私は受け止めていますし、そのことがこれからの政権運営としての試金石になっていることは、非常に好ましいことだと考えています。

〇記者
 年収103万円の壁の見直しやガソリン税軽減というのは、やるべきだということでしょうか。

〇知事
 そもそも国民民主党の公約では、実質賃金が上がるまでは消費税を5%に下げましょうということが柱になっていたはずですが、そこではなく2番手、3番手の公約から取り組むことに疑問はあります。
 連立を組んで挑戦するということであれば、そこから交渉してもらった方が、国民のためになると考えています。

〇記者
 知事は、消費税の減税にご理解を示されるお立場なのでしょうか。

〇知事
 消費者としては、減税はありがたいことだと考えています。

〇記者
 地方消費税は県税収でかなり重要な位置付けで、政府もその社会保障のためには重要なお金だという理解だと思います。県民・国民としてはありがたいというの分かりますが、何か具体的な根拠や理由はあるのでしょうか。

〇知事
 税と社会保障というのは一体ですから、そういったことを全部整理して減税するということであれば、それは国民も歓迎するでしょう。

〇記者
 先ほど、比例票の出方についてのご質問の中で、国政で起こっていることが青森県内でも起こるようになっていて、かつてはそうではなくて保守的な地盤だったとおっしゃっていました。今までがどうで、今どうなっているのか、もう少し具体的に教えてください。

〇知事
 これまで、自民党が小選挙区で負けることはありませんでした。野党側の票を足し上げて負けるということも、そんなにはなかったはずです。このため、そこが風向きが変わったポイントだと受け止めています。

〇記者
 原子力の関連で1点お伺いします。今月16日の資源エネルギー庁の原子力小委員会において、むつ市にある使用済燃料中間貯蔵施設の方から、日本原燃の再処理工場に搬出する方針が示されましたが、その方針に対してどのように受け止めていらっしゃいますか。

〇知事
 その方針そのものは、中間貯蔵施設の操業開始前に安全協定を締結する過程の中で聞いている話ですし、そのこと自体は県のエネルギーの特別委員会の中でも国側から示されていることですので、今となって新しい見解があるわけではないです。

〇幹事社
 それでは、時間となりましたので、最後に知事からよろしくお願いします。

〇知事
 皆さん、今日もありがとうございました。
 先日、台湾に行ってまいりまして、観光交流やりんごのPR活動を行ってきました。台湾のスーパーには青森りんごがたくさん並んでいて、どの関係機関を訪問しても青森びいきな状況だったと感じています。
 今週10月29日から台湾の定期便が再開して、台湾から多くのお客さまに来ていただいています。私も第一便に乗って戻ってきましたが、台湾の空港の待合室では「チンセン(青森)」という言葉が飛び交っていましたし、飛行機の中でも、青森のことをお話しされている観光客の方がたくさんいました。青森上空に来ると、岩木山や八甲田、十和田湖の紅葉がものすごくきれいに見えて、皆さん、歓声を上げていました。
 その様子を見て、私自身、青森に生まれ育って、青森で暮らしていることを誇りに感じました。
 これから台湾を中心に多くの外国人のお客さまに来ていただくことになります。お近くに外国人の方がいらっしゃる場合は、どうぞ皆さんもあたたかくおもてなしの心で出迎えていただいて、お一人お一人観光大使のつもりで対応していただきたいと考えています。
 深まる秋、実りの秋、そして何といっても美しい秋になってきました。寒くもなってきましたので、どうか皆さま、暖かくしてお過ごしくださるようお願い申し上げます。
 私からは以上とさせていただきます。本日もありがとうございました。

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