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更新日付:2023年1月27日 地域交通・連携課

AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー10 野土谷 泰大 さん

20代の失敗が転換期。消防団、保護司などの地域活動が、仕事にも生きる

野土谷氏写真01 株式会社AOMORIロジステック代表取締役社長

青森市在住。県立青森工業高等学校卒業後、地元のIT系ベンチャー企業に就職。2005年、IT系事業を立ち上げ、独立。結婚を機に飲食業にも携わる。2012年、地域事業創造を主軸としたコンサルティング会社、株式会社AOMORIロジステック設立。飲食業の株式会社精養軒と併せ奮闘している。一方で、特に地域の安心安全に寄与すべく自衛隊関係諸団体で活動、2011年から青森市消防団、2021年から保護司としても活動している。

地域課題を解決するコンサルティング会社

2012年に創業した「AOMORIロジステック」は、いわゆるコンサルティング会社です。地域課題、特に新たな仕事の場を創造するため、地域資源を主に県内外とのタイアップや投資、さまざまなアイデアの組み合わせによる事業創造を手掛けています。具体的な例を挙げるとゴボウ。青森県のゴボウは日本一の生産量を誇りますが、規格が合わずに捨てられたり安く売られてしまったりするものが沢山ありました。それらを商品として活用したい県外企業とゴボウ生産側の地元企業をマッチング。今まで商品価値が無かったものが「ごぼう茶」として変身しました。規格外だとしても、加工品としての価値は十分にあり、新しい活路を見出すことができました。

ホタテも青森県の特産の一つですが、養殖残差やウロ(中腸腺。人間でいうところの胃や肝臓)などは生産者がお金をかけて破棄しています。たい肥として利用する方法もありますが、なかなか経済性を伴ったものにはなっていません。私はウロを「飼料」として再利用することに着目。畜産などの飼料価格が世界的に上昇、不足していることから国内外問わず流通させることを模索、解決。経済性を伴った現実的なレベルの事業構築に至るところです。国内外のへの販売が始めることができれば新たな経済活動を生み出すことができますし、ウロという厄介ものが飼料として循環型社会の一助になると考えます。皆が喜べる事業となるはずです。

社名のロジステックはロジカルとテクニカルを組み合わせた造語です。私の会社では、地域にある課題や現状の問題を探すことから始め、解決する方法を見つけることが仕事になっています。

20代の失敗から考え方がシフト

青森工業高校情報技術科を卒業後すぐに就職した私は、地元のベンチャー企業に就職。SEや営業などをしていました。ベンチャーと言えば聞こえはいいですが、残業が続くような毎日。今で言うところのブラック企業のような状態でした。大変な日々でした。そんな中、一大決心し22歳で独立。IT系のコンサルティング業務などをメインに営業し、それなりに事業を進めることができていました。しかし、26歳の頃、事業に失敗。大きな借金も抱え自信を失い落ち込んでいました。「あおもり立志挑戦塾」を見つけたのは家族です。何かしらのきっかけになるのではと入塾を勧めてきました。人と一緒に勉強したり交流をしたりするといったことがあまり得意ではないのですが、言われるがまま参加。まさか後に「AOMORIロジステック」を立ち上げるきっかけになるとも知らず。

「あおもり立志挑戦塾」は青森県のリーダー人財育成事業で、一期生として入塾しました。塾の中では一番年下だった気がします。若い、社会的立場はない、失敗…どうせ自分なんて…と半ば諦めた感覚が強かったのですが、講義や終わった後に開かれる交流会などに参加していく中で、さまざまな業種の人たちと「青森を盛り上げよう」「こうやればいいのでは」と真剣に語り合う自分がいました。夢を夢として語るだけでなく、現実を分析し、実現させるために何が必要で、どう進めていけばいいのかなど。計画を組みたてたりアイデアを共有したりしている場が、良い刺激になりました。「成功の反対は失敗ではない、何もしない事である。失敗も結果としては成功と同じ」「志とは人生の遠大な目標である」。仲間とその言葉が自信を取り戻す一助となり、次の起業へと結びついたのです。

まったく興味がなかった消防団

個人的な活動では2011年に青森市青森消防団(青森消防団第三分団第二班)に入団。家族所有の賃貸物件でボヤが発生したことがきっかけでした。当時は消防団に興味も関心もなかったため、消防団という組織が特に何をしているという意識はまったくありませんでした。しかし、ボヤの件で出動していた消防団の活躍を目にし、個人的に研究してみました。分かったことは、地域の防災に大きく寄与する組織だということ。ボヤの件でお世話になったことへの恩返しも思いながら、自身もその組織に入り同じく地域防災に寄与しようと決意し、入団しました。また、活動を積み重ねてみると、地域との関わり、防災への意識づくり、人との繋がりを実感。その存在の大切に改めて気付いています。

入団前の自分がそうであったように、消防団に対する理解が社会的に醸成されていないように感じました。そこで現場での活動だけではなく、学生への消防団の啓発活動や、地域で開かれる防災関連の事業への参画を積極的に取り組みます。行政の防災に関わる事業にも関わり、消防団の存在を知ってもらう活動に力を入れるようになりました。

消防団の活動は災害時の取り組みや相互扶助の考え方を学ぶ機会になっただけでなく、地域を守っているという生き甲斐や仲間との関わりなど、私にとって得られるものは少なくありません。こういった組織活動から見えてくる人生の過ごし方に魅力を感じ始め、活動の中で感じたことが仕事に生かされ、地域活動へのさらなる還元を生み出す。良き社会づくりの一助となりたいと思うようになったのです。

  • 野土谷氏写真02
    消防団に入団した野土谷さん

住む場所、働くところ、活躍できる場所を作れる社会

2021年3月から法務省より保護司を委嘱され、青森保護区で活動を始めました。義理の父も保護司でありましたから親子2代となります。主だった活動は、出所した者の生活支援、青森刑務所や青森市の更生保護施設「プラザあすなろ」で職業観についての講演をしています。同年 4月からは陸上自衛隊東北方面隊のオピニオンリーダーを委嘱され、自衛隊と民間との懸け橋として活動もしています。実は子どもの時の夢が自衛隊に入ることでした。願い叶わず今の仕事になっていますが、心のどこかで自衛隊に関わる何かをしたいなとずっと思っていました。その折、退職自衛官の再就職支援活動への参画を打診され、参画。以降、陸上自衛隊関連の後援団体への参画、海上自衛隊後援団体「青森艦交会」の立ち上げなど、憧れだった自衛隊に対する支援活動が広がりました。私にもできることがあったのです。強く想い続けることの大切さを覚えました。
  • 野土谷氏写真03
    青森市における海上自衛隊後援団体「青森艦交会」の活動は2019年の護衛艦「いずも」入港から始まった
保護司の活動を通して改めて実感したことは、出所者の社会復帰は重大な社会問題だということです。「見たくない、関わりたくない」。きっとそう思う人は多いと思います。私もそうでした。現実として私たちの生活のすぐ側に存在しています。再犯率が5割弱という現状を改善することは再犯に伴う被害者を減らし、過ちを重ねる悲しい事象を減らす、住みよい社会創造の取り組みとして大切な活動です。放っておいて良いことではありません。

罪を犯した者にそこまでと思う方もいると思いますが、住む場所や働くところがないとあっと言う間に生活は荒み、悪い結果を招きます。行政だけに頼っていては追いつきません。社会全体でこの問題に取り組み、更生、社会復帰を助けるべきと考えています。努力を怠ったがために、ある日突然、自身や大切な人が、再犯による犠牲者となる。あってはならない、させてはならないのです。

これらの考えは刑務所や更生保護施設での講演でも常々話しています。社会復帰を頑張る者、後押しする者、社会の頑張りが犯罪被害者の減少に繋がるのだと。だから皆で頑張る、単なるお情けではないのだと。

実現するためにはまだまだ理想と現実の落差があります。今後、どういう取り組みや仕組みが必要になるのか研究していかなくてはなりません。難しい問題も出てくると思います。ゴールは全然見えていませんが私にできることはまだたくさんあるような気がします。「誰かのために頑張る」と言うことは「住む」や「仕事」だけでなく、社会と自身とを繋ぐ大切な綱・接点であると私は思います。
  • 野土谷氏写真04

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電話:017-734-9133  FAX:017-734-8027

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